KATY LAYMAN｜EDEN 404: Paradise not found

　MARGINでは、ケイティ・レイマンの個展「EDEN 404: Paradise not found」が開催されている。

　レイマンは1996年生まれのアメリカ人アーティスト。2018年から日本に在住し、21年からギャラリーでの展覧会に参加。 近年の作品は、青空の下で遊ぶ夏の日、幼少期の家でヴィデオゲームやコンピュータゲームをすること、家族で毎週カトリックのミサに参加することなど、幼少期の記憶を色濃く反映している。その作品はデジタルな要素をモチーフのなかに、写実的な花や空といったアナログの風景を溶け込ませており、うつろいゆく不完全な対象をデジタル空間のなかに閉じ込めるという試みは、作家自身の願望を投影させたものでもある。

　今回、レイマンは本展のために制作した新作のペインティング7点を発表。これまでのモチーフに加え、自身のアイデンティティの背景にあるキリスト教におけるエデンの園とインターネットとのアナロジーを見出すことで、今作はより一層パーソナルかつ社会性をはらんだ多面的な解釈の幅を持っている。

　展示のタイトル「EDEN 404: Paradise not found」は、サーバーがウェブページを見つけられなかった場合に表示されるエラーメッセージである「HTTP 404」に由来したもの。また、ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』（1667）を引用している。

　新作では、90年代の、シンプルでフラットなコンピュータのアイコンやゲームと、花や雲のイメージの組み合わせで、「デジタル・エデン」が表現されている。デジタルエデンでは、「マインスイーパー」や「ソリティア」などの初期のコンピュータゲームが無邪気な娯楽として機能し、そこでのインターネットには人間を堕落へと誘いう禁断の知識が含まれている。