EXHIBITIONS

大久保紗也「The mirror crack’d from side to side」

2022.08.19 - 09.11

⼤久保紗也 Warrior(mirror) 2022

 ⼤久保紗也の個展「The mirror crackʼd from side to side」がROPPONGI HILLS A/D GALLERYで開催。本展では、新作のペインティング作品⼗数点を発表する。

 ⼤久保は、輪郭線として表現される記号的なイメージと、物質感を伴うフェノメラルな像のうねりという、2つの分離した要素を共存させた絵画を制作している。その作品は、磨いたアクリル絵具の下地や、⽴体的な油絵具の層、⼈体の様々なパーツやポーズを描いたドローイングをもとに切り出された線など、様々なレイヤーによって構成されている。

「子供の頃よく見たアガサ・クリスティの本の背表紙。その中の1冊にテニスンの詩を引用したタイトルがあったことを思い出す。塔の中の彼女は鏡を通して世界を見る。誰に言われたかもわからない呪いを信じてひとり機を織る。アトリエで自らの行為を内省しながら描く。誰に言われたわけでもないが、少しずつ痕跡を消しながら。左右の身体のずれ、動きのずれ、認識のずれ。左手と右手にそれぞれペンを持ち、対照にドローイングをする。少しずつ輪郭を崩しながら同じ、でも違う像を生成していく。ディスプレイを通して世界を見る私はひび割れた画面で指先を切った痛みが此方と彼方を分ける。適度に痕跡の消えたタブローは、シャロットの姫が織った布とひび割れた鏡、そのどちらにも似ていると思う。(⼤久保紗也)」。