EXHIBITIONS

森ナナ「瞬間」

PURPLE
2022.08.11 - 08.25

森ナナ シリーズ「色の書」より © Mori Nana

森ナナ シリーズ「色の書」より © Mori Nana

森ナナ シリーズ「色の書」より © Mori Nana

森ナナ シリーズ「色の書」より © Mori Nana

 京都のPURPLEでは、アーティスト・森ナナの個展「瞬間」が開催されている。本展キュレーションは大倉佑亮。

 森は1990年福岡県生まれ。2016年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。書家の家庭に生まれ、幼少期より書に親んできた。主な展示に、「 石川竜一+森ナナ展 絶景の瞬間」(The 5th Floor、東京、2021)、個展「Nucleus」(KANA KAWANISHI GALLERY、東京、2018)、「美大生展」(SEZON ART GALLERY、東京、2016)などがある。

 また森は作品制作に並行して、ライブパフォーマンス、ワークショップ、講義などの制作活動を展開しており、現在は、2022年の瀬戸内国際芸術祭の招聘作家として香川県粟島で滞在制作を行っている。

 本展のタイトル「瞬間」は、森が自身の制作を振り返る際に出てきた言葉だという。書の形式的本質である「一回性」を厳守し体得される森の書線は、筆の着地と同時に、「線」と「造形」が立ち現れる。始点があり終点があるその書線には、時間軸にしたがって伸びゆく線形的な時間がありながらも、非線形的な時間も感じられる。

 本展では、2008年から試作を重ねてきた初発表となるシリーズ「雨の書」を展示。加えて、森が自身の表現の核とするシリーズ「Nucleus」、最新作「色の書」を中心に初期作から最新作までの流れを紹介し、その表現の本質を探る。

「一瞬で書く。後から手を加えることはない。一回の動きからなる書線には、一瞬の心情も、意識無意識も、自身の状態が鮮明に表われ、墨・紙・筆の状態には、気温、湿度、空気、その一瞬のコンディションのすべてが、線上に形として立ち現れてくる。意識と無意識の狭間で筆を握る。何かに少しでも気を取られたり思考を始めると、その一瞬は終わりを迎える。何度も繰り返し書く中で身体が線を体得するまで時間を要するが、その先に初めて、向こうからも形になる瞬間がある。私はただ、その瞬間を見る(森ナナ)」。