EXHIBITIONS

国際芸術祭「あいち2022」連携企画事業/特別展

ホモ・ファーベルの断片 ―人とものづくりの未来―

The Fragments of Homo Faber -the Future of Humans and Crafting-

2022.07.16 - 10.02

桑田卓郎 Untitled 2016 個人蔵

奥直子 稀 2022 個人蔵

小形こず恵 染付瓶「朝顔」 2021 個人蔵

井戸真伸 Bernoulli Diamonds デザイン:2022 個人蔵

酒井智也 ReCollection series 2020-2022 2020-2022 個人蔵

川田知志 瀬戸風景2022 2022 個人蔵

 愛知県陶磁美術館では特別展「ホモ・ファーベルの断片 ―人とものづくりの未来―」を開催中。本展覧会は、国際芸術祭「あいち2022」連携企画事業の一環として行われる。

 展覧会のタイトルにある「ホモ・ファーベル」は、フランスの哲学者アンリ=ルイ・ベルクソンの定義づけからとったもの。ベルクソンは、道具のための道具を制作すること、あるいはその制作に変化をこらしていく能力(創造性)が人の知性の本質であると指摘し、創造性を持つ人をホモ・ファーベル(工作人、こうさくじん)と述べている。

 本展は、「やきものはその原初をたどれば、人が知性の本質に従って創造した道具であり、いまなお人の営みにあわせてつくり続けられている」としながら、そのなかで、つくり手の自由な意思に基づく造形として展開され、時代を映す多様な在り方を示している現代陶芸を、「ホモ・ファーベルの断片」としてとらえる。

 会場の愛知県陶磁美術館がある東海地域には豊富な天然資源があり、様々なやきものをつくり出し人々の暮らしを密に支えてきた。本展では「人の創造性」をテーマに、創造の前提となる「素材」、培われてきた「技」、形成されてきた「場」に着目。これらの観点から東海地域の現代陶芸を紹介し、人とものづくりの関係性を再考する。

 展示構成は、やきものづくりの原点となる素材(土・釉薬・焼成)の観点から作家を取り上げる「創造の源泉―素材―」(展示会場:南館、芝生広場)、東海地域に根ざす技法、あるいは先端の技術という観点から作品を紹介する「ars(アルス)―技法/技術―」(本館第1・第2展示室)、そして人々が集うことで形成されてきた「場」や、場に刻まれた「記憶 / 原風景」に焦点を当てる「場―記憶/原風景―」(本館、古窯館)の3章で構成される。

 参加作家は、植松永次、奥直子、加藤清之、桑田卓郎、柴田眞理子、田中陽子、田中良和、横田典子、吉川正道、渡邉太一郎、伊藤雅風、伊藤秀人、井戸真伸、小形こず恵、加藤孝造、清水潤、鈴木藏、鈴木徹、田上知之介、樽田裕史、長江重和、林恭助、前田正剛、松永圭太、水野教雄、森克徳、山浦陽介、安藤正子、伊藤慶二、岩村遠、内田鋼一、川田知志、酒井智也、戸田守宣、中田ナオト、松藤孝一の36名。

 愛知県の誇る歴史や地場産業、伝統文化の再発見をコンセプトのひとつに掲げている国際芸術祭「あいち2022」とあわせて巡ることで、東海地域のものづくりの魅力を知る好機となる。