EXHIBITIONS

Kotaro Yamada 個展「Persona」

2022.08.06 - 08.26

Kotaro Yamada If it is there.#01

Kotaro Yamada 左から、《Post Eikon#J.C》《ME ver.6》《GOKUMONKI》

 現代彫刻家・ Kotaro Yamadaの新作個展「Persona」が銀座 蔦屋書店アートウォールギャラリーで開催される。

 Yamadaは1988年東京都生まれ。2016年武蔵野美術大学大学院修士課程彫刻コース修了。私たちが知っている「イコン」を陶器と金属などの異素材を組み合わせ、彫刻として再解釈・再構築する。装飾的かつゴシックな印象を持つ作品の背景には、作家が幼少期から親しんできたアメコミ、プロレス、宗教、パンクカルチャーなどからの影響がある。

 本展「Persona」では、立体作品の「Eikon」、新作のレリーフ作品「If it is there」、そしてソフトビニール作品「ME」の3つのシリーズを紹介する。

 2020年の初個展以来、Yamadaが展開してきた作品群のひとつが立体シリーズの「Eikon」だ。作品に使われているモチーフは、いずれもYamadaが幼い頃から親しんできたアメコミ、プロレス、宗教、パンクカルチャーなどから着想を得ており、多くの人にとっても見憶えのあるもので、この作品のなかで、誰もがイメージできるモチーフの顔を金属であえて覆い隠し、その表情を鑑賞する者の想像に委ねている。

 初披露となるレリーフ作品「If it is there」シリーズは、二次元と三次元の境界線を探究するなかで誕生した。鑑賞する者の見る角度によって光の見え方や感じ方が変わる、額装に三原色ライトを仕込んだこのシリーズは、ペインティングと彫刻という2つの技術を通して「現実に存在している」ことを私たちに訴えかける。

 コロナ禍で人と人との関係について深く考えたことをきっかけにして生まれたソフビ作品の「ME」も「Eikon」シリーズと同様、顔が仮面で覆われている。「ME(私)が誰かのもとへと行ったとき、誰かの気持ちによって仮面を変化させたり、寄り添ったりできるように」との思いから、Yamadaはあえてこれまでの作風から踏み出し、ソフビを用いた親しみやすいシリーズを誕生させた。

 3つのシリーズに共通しているのは、「どこまで『イコン』を変化させると、その像を私たちは認識できなくなるのか」という問いの投げかけだ。「Persona」をキーワードに、様々なアプローチからKotaro Yamadaの作品世界を堪能してほしい。

 なお作品は銀座 蔦屋書店店頭および、オンラインストア「 OIL by 美術⼿帖 」で販売される。