EXHIBITIONS

不断の表現展

2022.03.15 - 08.21

島崎敏司 作品画像

長谷川亮介 作品画像

江中裕子 作品画像

 にしぴりかの美術館では、企画展示「不断の表現展」を開催中。平川病院「造形教室」から、江中裕子、長谷川亮介、島崎敏司の3名が出展している。

 江中裕子は、入院中のたばこ室に置いてあった雑誌をきっかけに、コラージュを始めた。その楽しさから夢中になり、早朝に起きて、ナースセンターの灯りの下で制作に没頭しているという。

 長谷川亮介は、ミュージシャンをモチーフに自宅で作品をつくり、「造形教室」では油絵やアクリル画の画材を用いるようになった。これまで自身を見てくれる母のためだけに描いてきた。

 島崎敏司の作品には、パステル、蜜蝋、ボールペンなど様々なものが使われ、抽象画として描かれることが多い。最近になって、「絵の描き始めは、この絵はあまり良い絵にはなりそうもない、と思っても描き込んでいくうちに案外と自分で気に入った作品になる時がある」ということに気がついたと語っている。

 本展のタイトルにつけられた「不断」は、いま一般的に使われている「普段」のもともとの漢字であり、当然のように毎日変わりなく繰り返される状態を表す言葉だ。平川病院「造形教室」の宇野学は、民藝運動の父・柳宗悦が、不断使いの安価な雑器のなかに「健康の美」や「平常の美」、「用の美」といった「美」の相が豊かに宿ることを発見したことにふれつつ、本展に寄せて、次のように述べている。

「今回、『造形教室』を代表する表現者、島崎敏司さん、江中裕子さん、長谷川亮介さんの、不断の日常的な制作の中から紡ぎ出された小品の数々を展示いたします。柳宗悦がもし来場したならば、おそらく『美』の相がそこかしこに宿っているのを発見するであろう『不断ノ表現』を、是非ご覧下さい」。