EXHIBITIONS

新世代への視点2022

荒瀬哲也 展

2022.07.25 - 08.06

荒瀬哲也 Just Now / Invisible / Inaudible / Reverberation 2022

荒瀬哲也 Tracking 2021

「画廊からの発言 新世代への視点2022」は、銀座・京橋エリアの7画廊が、それぞれ推薦する新鋭作家の個展を同時開催する展覧会。23回目を迎える今回、ギャラリー58では福岡出身のアーティスト・荒瀬哲也を紹介している。

 荒瀬は1981年生まれ。2006年に広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程を修了。本展では、体験型のヴィデオ・インスタレーションを発表する。

 本作は、鑑賞者の動きに反応して撮影されたライブ映像を、複数のプロジェクターが遅延して投影し、鑑賞者を360度取り囲む。鏡に映る姿とは異なる近過去の自分と対面し、映像と影、実像と虚像が何層にも重なって、過去と現在が交錯する空間が生まれる。事前に撮影した映像は用いず、記録することもなく消えていく、その場限りの体験型ヴィデオ・インスタレーションだ。荒瀬は以下のコメントを出している。

「私が素材として用いる『映像(ヴィデオ)』には、何かひとつの物語(ストーリー)があるわけではありません。さらには、『作品』を『撮影』或いは『記録』することも容易にしていません。『現在(いま)』を記録された像(イメージ)は、瞬く間もなく消えてゆき、鑑賞者の中で記憶されてゆきます。全ての事象は唯一無二であり、即興で出現し消えてゆく--。『時間』という軸は、私たちの技術(テクノロジー)をもっても、未だに制御不能であり、巻き戻したり早送りすることは不可能なのです。作品の中で、何らかの形で鑑賞者と判り易く(ときに判り難く)対峙させているのはそのためです(荒瀬哲也)」。