EXHIBITIONS

李逸琰(リ・イイェン)展「残月祭」

2022.07.25 - 08.03

李逸琰 蒔絵六角箱「孔雀の影」
谷崎潤一郎『陰翳礼賛』からのオマージュ

李逸琰 卵殻闇蒔絵合子「肥料」
谷崎潤一郎『刺青』からのオマージュ

 ギャラリー上田では中国出身のアーティスト、李逸琰(リ・イイェン)による個展「残月祭」が開催されている。

 李は1990年北京生まれ。2013年に北京中央美術学院ホームプロダクトデザイン専門を卒業。15年に日本に留学し、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存專攻保存油画研究室に在籍した。北京首都博物館文化財保存修復センターでのインターンシップ、国立台南芸術大学博物館学及び古物維護研究所所属などを経て、19年に富山大学芸術文化学研究科を卒業。同年、金沢美術工芸大学美術工芸専攻博士後期課程に在籍し、現在は金沢で制作を行う。

 本展では、李独自の、谷崎潤一郎の文学をモチーフとした漆芸作品を展示。日本文学から生まれた新たな漆について、作家は以下のように述べている。

「暗い茶室において蝋燭の光でぼんやり照らされる道具、そして空間全体に美しさを見出す日本人の精神性の高さを素晴らしく思います。

日本文学では、谷崎潤一郎の描く『人の心の光と闇』に魅せられ10年以上研究しています。『刺青』、『卍』、『春琴抄』など谷崎の代表作をテーマにした蒔絵と卵殻技法の漆作品を、生誕記念の『残月祭』に合わせ展示します。蓋の外側と内側を対比し、心の二面性を見出していただけると幸いです(李逸琰)」。