EXHIBITIONS

工芸教育の精華―納富介次郎とデザインの思想―

石川県立歴史博物館
2022.07.23 - 08.28

鈴木華邨 鷲ノ図 明治時代

納富介次郎 関羽之図 明治時代

村上鉄堂 新田義貞稲村ヶ崎宝剣激浪に投ず 1893(明治26)

玉井敬泉 松ノ図 1919(大正8)

 特別展「工芸教育の精華―納富介次郎とデザインの思想―」が、石川県立歴史博物館で開催されている。石川の工芸を支えた「教育」に焦点を当てる展覧会。

 金沢工業学校(石川県立工業高等学校の前身)は、日本で最初の工芸とデザインを専門的に教育する学校として、1887(明治20)年に石川県勧業博物館の一部を仮校舎として開校した。納富介次郎を初代校長として迎えた同学校は、日本の伝統的なものづくり思想に西洋のデザイン思想を融合させた創造的なカリキュラムにより、多彩な工芸・デザイン教育を展開し、その結果、石川の工芸は今日「工芸王国」と称されるまでに発展を遂げ、日本の工芸文化を先導する役割を担うまでになった。

 本展では、金沢工業学校の開校以降、石川県にゆかりのある工芸教育者たちにより制作された作品や図案、図書資料などを一堂に展示。工芸王国石川が誇る先進的な工芸・デザイン教育の全容と、各時代の教育者たちが持つ教育理念や工芸文化に対する想いをいまに伝える。

 展示は、「工芸教育の黎明」「教育思想の継承と発展」「工芸教育の現状と未来」の3章で構成。金沢工業学校の開校当初からから石川県立工業学校への改称までさかのぼり、初代校長・納富介次郎の教育思想を継承するとともに、当時全国各地で開校が予定されていた工業・工芸学校の模範として、新たな時代の教育の在り方を模索した教育者たちの足跡、そして、戦後復興期を経て現代に至る工芸とデザイン教育の様相を読み解くことで、未来の工芸とデザイン教育のあるべき姿について考察する。