EXHIBITIONS

ちひろ・花に映るもの

2022.06.25 - 10.02

いわさきちひろ チューリップのなかのあかちゃん 1971

 ちひろ美術館・東京では、展覧会「ちひろ・花に映るもの」を開催。絵本作家、画家のいわさきちひろが描いた花の表現に注目する。

 いわさきちひろは、チューリップ、バラ、ひなげし、ききょう、シクラメンと、多くの花を作品に描き、「花と子どもの画家」とも言われてきた。

 花が好きだったちひろは、庭で草花を育て、アトリエに鉢植えを飾るなど、22年間を過ごした東京・練馬の自宅(現:ちひろ美術館・東京所在地)で四季折々の花に囲まれた暮らしを楽しんだ。花と語らい、花を慈しむ時間は、ちひろの創作の源泉であり、美しい花の造形を丹念に描いた時代を経て、やがて、ことばにできない繊細な心のひだを花に託した独自の表現へと移っていった。

 本展では、ちひろの絵本『花の童話集』(童心社、1969)、『世界名作絵本全集14 おやゆび姫』(ひかりのくに昭和出版/改訂版 講談社、1966)、『戦火のなかの子どもたち』(1973、岩崎書店)などのための作品や、《チューリップのなかのあかちゃん》(1971)といった作品を含む、約50点を展示。

 花や葉の造形を丹念に描き出した1960年代前半から、花を大きく描いた自由な構成が登場する1960年代後半まで、ちひろが描いた花の表現の変遷を追いながら、花々のなかに映るちひろの感性や美意識を探る。

 なお、同時開催のコレクション展「ちひろ美術館コレクション 江戸からいまへ 日本の絵本展」(~10月2日)では、江戸を起点に、現代までの絵本の歩みと広がりを、西村繁男ら、コレクション作品をもとに紹介する。