EXHIBITIONS

「中井英夫 生誕100年」展– 本多正一写真集「彗星との日々」と装画作家たち –

© Hideo Nakai, Shoichi Honda

© Hideo Nakai, Shoichi Honda

 Galerie LIBRAIRIE6 / シス書店では、「中井英夫 生誕100年」展(副題:本多正一写真集「彗星との日々」と装画作家たち)が開催される。

 本展では、小説家・中井英夫の晩年に助手を務めた本多正一による写真、また数多くの装画を担当した建石修志の鉛筆画に加えて、村上芳正による版画作品を展示。加えて中井の直筆原稿ほか数々の遺品もあわせて公開する。

 また中井の生誕100年を記念し、新装版『水星の騎士』を限定250部で刊行。詳細はGalerie LIBRAIRIE6 / シス書店のウェブサイトをチェックしてほしい。

 中井は1922年東京・田端生まれ。太平洋戦争の学徒動員で参謀本部配属、のちに戦中日記『彼方より』を刊行。戦後、東大に復学し第14次『新思潮』を創刊、同人に吉行淳之介、椿實(つばき・みのる)らがいる。『短歌研究』『短歌』編集長として葛原妙子、塚本邦雄、中城ふみ子、寺山修司、春日井建らを抜擢。64年、塔晶夫の筆名で『虚無への供物』を刊行。探偵小説のスタイルを借りた戦後文学の達成として「推理小説の墓碑銘」とまで絶賛された。苦心して綴った文体と建石修志の挿絵・装丁を得た『幻想博物館』『悪夢の骨牌』(泉鏡花文学賞)『人外境通信』『真珠母の匣』の『とらんぷ譚』のほか、『黒鳥譚』『幻戯』、エッセイ集『ケンタウロスの嘆き』、日記『黒鳥館戦後日記(正・続)』、短歌論集『黒衣の短歌史』、詩集『眠るひとへの哀歌』など独自の文学世界を築いた。絶筆は詩「眠り」。93年没。『虚無への供物』開巻と同じ月日、曜日であった。導師・福島泰樹のもと友人葬が営まれ、墓所は山口市の正福寺と下谷・法昌寺にある。