夏リ亭 ka ri tei

　東京・荒川区に「house & gallery 溶荘（とけそう）」がオープン。最初の展覧会「夏リ亭 ka ri tei」には、Cally Tan（キャリー・タン）、安永佳織、Niko Wu（ニコ・ウー）のアーティスト3名が参加する。

　キャリー・タンは、シンガポール出身のテキスタイル作家。主に哲学や心理学、人類学における概念を制作のプロセスに取り入れ、染織素材を使った作品を発表してきた。

　安永佳織は、ニューヨークで映像やアニメーション制作を学んだのち、映像作家として東京を拠点に活動。「ローマ国際短編映画祭2021」最優秀アニメーション賞、「ニューヨーク・インディペンデント・シネマ・アワード2021」最優秀アニメーション賞など海外にて高い評価を受けている。

　ニコ・ウーは、フィルム写真、オブジェ、詩など幅広い表現で支持を集める台湾出身の作家。昨年のPARCO MUSEUM TOKYOでの展示は写真表現を主としていたが、本展では小さなオブジェからなるインスタレーションを発表する。

　会場となる溶荘は、クリエイティブユニット「MELTedMEADOW」が東京都荒川区の解体予定だった空き家を改修し、住居兼アートギャラリーへと変えたスペース。現代住宅の様相を残したまま展示空間とすることによって、日常と非日常のあわいのなかでの新たな作品鑑賞の在り方を提示する試みだ。

　今回の「夏リ亭 ka ri tei」は、インスタレーション作品を中心とした展示を住宅空間で行うことを通して、家庭的な文脈での作品鑑賞を狙いとしている。家の間取りはそのまま展示の構造となり、家の平凡な景色のなかでアーティスト3人の作品と出会う、特異な体験をもたらしてくれる。