EXHIBITIONS

できない(かもしれない)わたし|My Bodily Timidity

2022.07.02 - 07.18

キービジュアル

成定由香沙 参考画像

北垣直輝 参考画像

周戸南々香 参考画像

櫻井悠樹 参考画像

 成定由香沙によるキュレーション展「できない(かもしれない)わたし|My Bodily Timidity」がThe 5th Floorで開催されている。出展作家は、成定由香沙、北垣直輝、周戸南々香、櫻井悠樹の4名。

 タイトルにある「できない(かもしれない)」の言葉は、アメリカの政治哲学者アイリス・マリオン・ヤングによって指摘された、「女の子投げ」などに見られる自らの身体性を過小評価してしまう女性の精神性がもととなっている。本展覧会では、およそ20年前に議論された「ジェンダー・身体・建築」を、現代の言葉と目線から改めて考える。

 本展のキュレーターであり、展示にも参加する成定由香沙は、東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻中山英之研究室修士2年在籍。「建築映像」を表現として探求しながら建築そのものとの関係性や空間体験への展開を研究している。本展では、ヴァージニア・ウルフのエッセイ『自分だけの部屋』(1929)を参照し、実家のなかに架空の「母親の家」を設計することを通して母親という表象を通した「家」のあり方を探る。

 北垣直輝は現在、京都大学大学院工学研究科建築学専攻平田晃久研究室修士課程在籍。新しい唯物論・装飾・愛着をキーワードに、ものと人の根源的な関係についての研究や制作を行っている。今回は「人格は物の傍らに住まう」を主題として、複数の友人から持ち物を提供してもらうことで、ひとりの主人公を空想する。展示では、この架空の人格を実際のもので構成された4つの場面で表現し、そこで鑑賞者はある種の出生に立ち会うこととなる。

 周戸南々香は京都大学大学院工学研究科建築学専攻冨島義幸研究室修士課程に在籍中。発展・進歩とは距離を置いた豊かさを包括的なテーマとし、歴史や文化、建築の空間性を研究してきた。本展では、伊東豊雄の建築「中野本町の家/White U」を題材に、建築から図面を介した音への翻訳を試み、「決めつけ」といった人の認識に働きかける。

 櫻井悠樹は、早稲田大学創造理工学研究科建築学専攻小林恵吾研究室修士課程に在籍。衣服を空間受容のための機器ととらえ、建築における身体論や空間論から身体感覚を誘発する衣服を手がけている。本展においては、「なぜ建築における身体性はジェンダーの観点を持たないのか」という問いへの応答の第一段階として、フェミニスト現象学で語られる男女の身体性の差異を衣服によって空間化することを試みる。