EXHIBITIONS

須藤美沙「巡りゆく星たち」

2022.06.30 - 07.24

須藤美沙 Saturn 2021 © Misa Sudo

 SYP GALLERYでは、アーティスト・須藤美沙の個展「巡りゆく星たち」を開催する。

 須藤は2005年に埼玉大学教育学部学校教育教員養成課程教科教育コース美術専修を卒業、07年に同大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修を修了。宇宙が身近に感じられるようになった現代において、8年前から宇宙の画像や天文に関する事物をモチーフに、遠くにあって身体的に感得し難い宇宙空間を表現しようと作品を制作してきた。

 須藤は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像に見られる、美しい銀河や星雲に魅了されたことから出発し、宇宙望遠鏡による科学観測や地学的教養、神話にも関心を寄せているという。作品の主な表現方法は、紙にピンで穴をあけ、その画面上に無数の星々や銀河、惑星などの図像を浮かび上がらせる。画面上に光を照らして陰影を強調させ、目に見えない宇宙の光をあらわそうと試み、作品に立体感や質感を与えている。作家自身は宇宙の造形美を観察し、作品制作を通して宇宙との距離を縮めていると考えている。

 本展では、土星や木星などの惑星や月の裏側を描いた作品に旋回する光を照らし、それらの固定されたビジュアルイメージに変化を与えて様々な表情を生み出す。展覧会で見せる見かけの変化は星の公転運動を想像させ、地球と星との関係性やその存在について私たちに考察を促す。また、メダル型のギリシャ神話の神をモチーフにした作品では、画面の表裏それぞれに同じ図像を描くことによって、「善と悪」のような二項対立と、その2つのあいだにある曖昧で揺れ動く部分や摩擦について表現する。

 また7月23日 15:00より、平松正顕(国立天文台講師)をゲストに招き、トークイベントを行う予定。詳細はSYP Galleryのウェブサイトをチェックしてほしい。