EXHIBITIONS

PARADISE OKINAWA

照屋勇賢、石垣克子、伊波リンダ、上原沙也加

2022.06.23 - 08.06

照屋勇賢 左から《Untitled》《Untitled》(ともに2018)

石垣克子 ライカム交差点からの眺めIII 2018

伊波リンダ 矛盾の中で眠る 2016

上原沙也加 The Others 2019-2022

  MISA SHIN GALLERYは沖縄出身のアーティスト、照屋勇賢、石垣克子、伊波リンダ、上原沙也加によるグループ展「PARADISE OKINAWA」を開催する

 沖縄が日本に復帰してから今年で50年を迎えた。観光客の激増、開発の波と自然環境の破壊への危惧、米軍基地に派生する問題など、復帰後の50年で沖縄の風景は一変し、いまも変化のなかにある。

 本展では4人のアーティストが、それぞれの手法と多様な視点で、沖縄の過去、現在、未来を考える。

 照屋勇賢は、ファーストフード店の紙袋やトイレットペーパーの芯などを素材に、木々の姿を切り出した立体作品や、沖縄の伝統工芸である紅型の着物で米軍基地や自然環境をモチーフにした作品で知られるアーティストだ。本展では、折り曲げて凹凸を施した紙に文字を切り込んだ水彩レリーフなど、いまベルリンを拠点とする照屋が、沖縄で制作した作品を展示する。

 現在も沖縄に在住する石垣克子は、米軍基地や米軍用の住宅、 戦後変化をしてきた建物や街並みなど沖縄の風景を描きとどめようと試みている。フラットな色彩と筆使いで描かれる、沖縄の太陽の光を均一に浴びた米軍専用施設や、開発に取り残されたような民家は、見る者の心に沖縄の現実に混在する哀惜と明るさという、相反する感情を呼び覚ます。

 伊波リンダは、米軍基地に勤務するハワイ生まれの沖縄人2世の父親を持ち、その影響で基地が身近にあった。演出的な方法で沖縄を表現した「矛盾の中で眠る」シリーズ、沖縄に駐留するアメリカ兵の日常やポートレイトを撮影した「Design of Okinawa」シリーズなど、伊波の写真は、対象との独特の距離感や繊細な意識の揺らぎを映し出し、その感性は見るものを引きつける。

 上原沙也加は学生時代を東京で過ごしたが、生活から切り離された沖縄のイメージへの違和感から、沖縄に戻り撮影を始めた。上原は、メディアにあふれる沖縄のイメージの多くは青い海や癒しの楽園、また基地問題の現場など、紋切り型の表現にとどまり、見られる場所として消費されているように感じると言う。「The Others」(2016〜22)では沖縄島の生活の場としての風景をとらえており、淡々とした写真の断面に重層的に存在するイメージは、沖縄という場所が重ねてきた複数の時間を読み取っている。