EXHIBITIONS

川田喜久治「ロス・カプリチョス 遠近」

2022.06.29 - 08.10

© Kikuji Kawada Courtesy of PGI

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 写真家・川田喜久治の個展「ロス・カプリチョス 遠近」がPGIで開催される。

 川田は1956年の『週刊新潮』創刊からグラビア撮影を担当し、その後フリーランスとして60年以上写真を撮り続けてきた。本展「ロス・カプリチョス 遠近」の展示作品には、2017年に発表した「ロス・カプリチョス –インスタグラフィ– 2017」と同様、1960年代に撮影された作品も含まれている。とくにヨーロッパで撮影され、のちの「聖なる世界」(1971)にも見られる作品が、水と世界を象徴するイメージとして登場する。

 川田が「ラスト・コスモロジー」(1966)で見せた空への写真的渇望は、「空から」として、アルフレッド・スティーグリッツの写真シリーズ「Equivalents(イクィヴァレント)」を彷彿とさせる様々な雲の表情に、現代の都市の様相を表象させている。いっぽうパンデミック下の東京を撮影した作品では、視界を覆うような植物や、行き交う人々の佇まいを撮り、刻一刻と変化する現代の張り詰めた緊張を写真に収めた。

「この時、この場所」の空気を俯瞰してとらえようとする川田の作風は、時代と場所を自在に行き来して編まれた今作「ロス・カプリチョス 遠近」においても変わらず、パンデミック下でも止まることなく都市に刻まれる時を写し出している。