EXHIBITIONS

伝えたい情景〜木版画家・山岸主計と現代作家たち〜

山岸主計/内田亜里/田中唯子

2022.06.18 - 07.18, 2022.07.23 - 08.28

山岸主計 ヴェニスにて 1928-31頃

山岸主計 モンマルトル寺院 1928-31頃

内田亜里 葬る山、斎く島 2020

内田亜里 葬る山、斎く島 2022

田中唯子 海を見る/傍観する 2019 Photo by Junji Kumano

田中唯子 ピース 2020 Photo by Junji Kumano

 藤沢市アートスペースが展覧会「伝えたい情景~木版画家・山岸主計と現代作家たち~」を開催。山岸主計を中心に、内田亜里と田中唯子の3人の作家を紹介する。

 山岸主計(やまぎし・かずえ)は、大正期から昭和にかけて活躍した藤沢ゆかりの木版画家。著名な画家による絵や図版を木版彫刻する「彫師」の仕事を始め、やがて自分で描いた絵を自分で彫り、摺る「創作木版画家」として制作活動を行った。その代表的な作品が、文部省嘱託として1926年から数年滞在した欧米諸国の風景をモチーフとした「世界百景」シリーズだ。

 2部構成となる本展では、山岸の2019年の新寄贈作品を中心に、前期は彫師として携わった作品を、後期は創作木版画作品を展示する。彫師の経験と確かな技術が、山岸の作品制作にどのような影響をもたらしたのか、その核心に迫る。

 本展で同時に紹介する2人の作家、内田亜里(うちだ・あり)は、土地を取材しその土俗性や気配を感じさせる写真作品を古典技法を用いて制作、いっぽう田中唯子(たなか・あいこ)は、世界情勢を反映したニュースや日常風景を切り取った画像などをもとに、一点物の版画作品を手がけている。

 前期・後期の展示を通して、異なる時代を生きる3人がとらえた「伝えたい情景」から、作家たちを突き動かしてやまない創作への情熱を紹介する。