EXHIBITIONS

北川聡「phytocenosis」

2022.05.12 - 06.05

北川聡 左は《phytocenosisー2》、右は《phytocenosisー3》(2022)

 gallery 21yo-jは、北川聡の個展「phytocenosis」を開催している。

 北川は1959年千葉県生まれ。85年に愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。初期では色彩を追求することで絵画について考察していたが、近年では、自宅付近にある原生林から着想を得て、黒と白を基調とした作品を描いている。

 本展では、墨の濃淡が複雑に絡み合った新作を展示。作家は次のステイトメントを出している。

「私の絵の動機のひとつとなっている場所は、自宅から数分の神社にある森である。

いわゆる鎮守の杜で、地質時代に川の浸食による開析で台地から切り離され、周囲から孤立した小山のような地形となったらしい。住宅街の中にあるにもかかわらず、人の手の入らない聖域として数百年かけて形成された原生林が奇跡的に保たれている。標高30メートルに満たないこんな小さな山の森でも、踏み入ると、日常のスケール感を見失い水平面も垂直線もない不定形の世界に囲まれる。極相に達するまでの遷移で、互いの領域を犯し合い、縺れ、寄生し、光を求めて生死を賭け熾烈な戦いを行なった形跡が残る。陰樹によって覆われたこの暗い静かな森は、動的平衡状態にある。樹々は相互に浸透し、アウトラインで掴むことのできない不確かさと濃密な気配を伴う空間。この捉え難さが私を捉える(北川聡)」。