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BACK TO THE LAND – 芸術の労働者たち

キービジュアル

展示風景より

展示風景より

『BACK TO NIKOLA-LENIVETS』書籍イメージ

 CAI03は、美術家ヒデミ・ニシダと写真家ピアカルロ・クエッキアによるルポルタージュ展「BACK TO THE LAND - 芸術の労働者たち」を開催している。

 ヒデミ・ニシダは、東京をベースに活動する美術家/研究者/教育者。美術家としては、建築的な手法をベースに、風景との対話を生む環境インスタレーションを多く手がけ、当たり前にそこにある周囲の環境や、意識しなければ見えにくい事象にまなざしを向け、世界の広がりや、その美しいディテールにふれる作品を制作している。

 ピアカルロ・クエッキアはブレシア出身の写真家/建築家。写真家として活動しながら、ミラノとモスクワで建築を学び、卒業後はバーゼルのヘルツォーク&ド・ムーロンでアーキテクトとして2年間働いた。2019年からはDSL Studioに所属し、建築と写真を行き来しながら活動。一貫して、異なる文化によってもたらされる現実を、独自の美的視点から眺め、再解釈する作品を手がけている。

 2人は2018年から2020年までの2年間、ロシアモスクワから南西200キロメートルに位置する巨大な野外芸術公園「ニコラ・レニヴェツ」を取材。この地域はもとはいくつかの集落からなるコルホーズ(集団農場)地帯であったが、1991年のソビエト崩壊後に徐々に解体され、ほとんどの集落が消滅した。そのひとつがニコラ・レニヴェツ村だ。

 多くの旧コルホーズ集落と同様に産業を失ったニコラ・レニヴェツは、2000年代初頭からここへ移住してきた芸術家と、周囲に住む元コルホーズ労働者たちとともに、巨大な野外美術作品をつくり始めた。その活動はやがて大きくなり、いまでは他に見られない巨大な芸術地帯を形成。インディペンデントな芸術公園として地域の経済を支える重要な産業にまで発展した。

 本展は、ヒデミ・ニシダとピアカルロ・クエッキアの2年間の「ニコラ・レニヴェツ」取材をまとめあげたもの。ニコラ・レニヴェツ芸術公園や周辺地域で生活する人々へのインタビュー、ポートレイトを通して、この地域とそこでの生き方を読み解くことを試みる。また本展に合わせ、2人による取材内容を収めたルポルタージュ本を出版する。