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グルッポT

Gruppo T

 1959年にイタリア・ミラノで結成されたキネティック・アートのグループ。グルッポTの「T」はイタリア語の「tempo(時間)」の頭文字に由来する。メンバーは、ブレラ美術アカデミー出身のジョヴァンニ・アンチェスキ、ダヴィデ・ボリアーニ、ジャンニ・コロンボ、ガブリエレ・デ・ヴェッキ。翌60年にグラツィア・ヴァリスコが加わる。同年、ミラノのパーテル画廊で初のグループ展「ミリオラマ1」を開催し、宣言を発表。

 彼らの狙いは、色、光、形といった要素が時間の中で変化する様子を再構築することにあった。それまでのキネティック・アートはモーターを動力とする回転運動によるものが主流だったが、グルッポTのメンバーは電気モーター、ゴム、磁石、ポリスチロール、ストロボ・ライト、ヘリウム・ガスといった新素材を積極的に用いて新機軸を打ち出した。その後、ジェノヴァ、ローマ、パドヴァ、ヴェネツィアなどイタリア各地でグループ展を開催。61年には瀧口修造のオーガナイズにより東京・南画廊でも「ミリオラマ9」展を行った。

 パドヴァを拠点とするグルッポN、フランスの視覚芸術探求グループ(GRAV)、ドイツ・デュッセルドルフのグループ・ゼロなど同時代のグループと関心を共有し、当時のヨーロッパを席巻していた「新傾向」の運動に加わって国際的な活動を展開した。

文=中島水緒

参考文献
『キネティック・アート Arte cinetica e programmata in Italia 1958-1968』(アートプランニングレイ、2014)
『ジャンニ・コロンボ イタリアの前衛美術 移動する空間』(草月会、1999)