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地中美術館

Chichu Art Museum

 瀬戸内海の直島南側に位置する現代美術館。クロード・モネ《睡蓮の池》(1915-26)の購入をきっかけに構想され、ベネッセアートサイト直島の活動の一環として2004年に開館した。建築設計は安藤忠雄。四角形、三角形など幾何学的な形態の展示棟が適度な距離を保ちながら設置されており、それぞれの建物にはひとりの作家の作品が恒久展示されている。また、「地中美術館」という名称があらわす通り、瀬戸内海の景観を損なわないよう建物の大半を地下に埋設する構造をとる。

 作品が展示されている建物は、クロード・モネ「睡蓮」シリーズの5点が自然光で鑑賞できる「モネ室」、ジェームズ・タレルの初期から近作までの3作品を集めた「タレル室」、最深部の地下3階から地上までの吹き抜けを利用した「デ・マリア室」の3棟。日没後にタレル作品《オープン・スカイ》が観賞できるナイト・プログラムも実施する。そのほかカフェやストア、クロード・モネの「ジヴェルニーの庭」にちなんだ植物を植える庭園を併設するなど、作品以外の見どころも多い。日本では数少ない、建物全体がサイト・スペシフィック・ワークとして機能している美術館である。

文=中島水緒

参考
地中美術館ウェブサイト(http://benesse-artsite.jp/art/chichu.html
『地中ハンドブック』(徳田佳世、逸見陽子編、地中美術館、2011)