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佐賀町エキジビット・スペース

Sagacho Exhibit Space

 1983年、小池一子が江東区佐賀町に開設した非営利のオルタナティブ・スペース。廻米問屋市場として栄えた歴史を持つ、27年竣工の近代建築「食糧ビル」の3階をインテリアデザインの設計会社「スーパー・ポテト」の監修でリノベーションし、展示スペースとして生まれ変わらせた。若手の発表の場と言えば貸し画廊が大半を占めていた当時、「いま生まれつつあるアートを発信しよう」というコンセプトのもとに、まだ評価の定まっていない美術家やキャリアのない若手作家を積極的に紹介した。

 日本におけるオルタナティブ・スペースのさきがけ的存在として、森村泰昌、杉本博司、廣瀬智央、内藤礼、大竹伸朗といった日本の現代美術界を代表する作家勢の活動を後押ししたほか、「ダニ・カラヴァン展」「ミンモ・パラディーノ展」などの海外作家展を開催。

 柱のない240平方メートルの空間、5メートルの天井高を誇る広々とした展示室は、どのように空間の特性を捉え表現するかを作家に問う実験的な場でもあった。2000年に閉廊。17年間の活動の内に関わった作家は400人を超える。02年には食糧ビルの解体に伴い最後の企画展「エモーショナル・サイト」が開催された。その後、11年に佐賀町エキジビット・スペースの活動と資料、作品コレクションを検証するためのショーケース「佐賀町アーカイブ」が3331 Arts Chiyoda内に設立された。

文=中島水緒

参考文献
『エモーショナル・サイト』(エモーショナル・サイト実行委員会、2003)