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東京画廊

Tokyo Gallery

 1951年、創業者の山本孝が志水楠男とともに銀座に開業した企画画廊。こけら落としは鳥海青児展。当初は安井曾太郎など作家の協力を経て近代日本の具象画を主に展示していたが、山本が瀧口修造を介して斎藤義重と出会ったことをきっかけに現代美術の紹介を中心に行うようになる。

 60年代以降は高松次郎、白髪一雄、岡本太郎など、戦後日本美術を代表する主要作家を紹介。展覧会の際には瀬木慎一、中原佑介、瀧口修造ら錚々たる批評家勢がテキストを寄稿した。また同時期からルチオ・フォンタナ、イヴ・クラインなどヨーロッパを中心とする海外作家の個展も積極的に開催。70年代以降はいちはやくアジア美術に目を向け、とりわけ李禹煥をはじめとする韓国人作家の紹介に尽力している。

 さらに80年代からは当時ほとんど日本国内で知られていなかった中国美術の発信にも努め、蔡國強らを紹介した。2002年、北京・大山子地区にBTAP(北京東京藝術工程)を開廊。もの派の作家たちの個展や「トリックス・アンド・ヴィジョン」展(1968)のような歴史的展覧会を開催するなど、戦後日本美術のシーンを牽引するパイオニア的役割を担ってきた画廊である。

文=中島水緒

参考文献
『東京画廊の40年=Document40』(東京画廊編、東京画廊、1991)