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松井冬子

Fuyuko Matsui

 松井冬子は1974年静岡県生まれの日本画家。女子美術短期大学造形科油画専攻を卒業後、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻へ進学。卒業後、同大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻、同大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域を修了した。博士論文は「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」。絹本に岩絵具という古典的技法によって内省的な世界を描き、主に女性や動物、幽霊、花、内臓などといったモチーフを得意とする。芸術表現が呼び起こす精神的・肉体的な「痛み」を起点に、恐怖や狂気、ナルシシズム、性、生と死などをテーマとした作品を多数制作。代表作には藤棚の下で前屈みに佇む少女を描いた《世界中の子と友達になれる》(2002)、内臓をさらけ出しながらこちらを見つめる横たわった女性像《浄相の持続》(2004)など。2011年には横浜美術館で大規模個展「松井冬子展—世界中の子と友達になれる」が開催された。