ARTISTS

インカ・ショニバレCBE

Yinka Shonibare CBE

 1962年イギリス・ロンドン生まれ。3歳からナイジェリアのラゴスで過ごし、17歳のときにロンドンに戻ってバイアム・ショウ・スクール(現セントラル・セントマーチンズ芸術大学)で美術、ゴールドスミス・カレッジで芸術学と哲学を学ぶ。以後、ロンドンを拠点に活動。鮮やかな色と奇抜な柄が特徴の綿布「バティック」を用いて、ヨーロッパ植民地主義時代を彷彿させる衣装をまとう人物像、絵画、彫刻、映像作品などを手がける。「バティック」とは、インドネシアのろうけつ染めをもとにヨーロッパで製造され、やがてアフリカに根づいたもの。アフリカ由来と思われがちなバティックを素材に使うことで固定観念に疑問を投げかけ、その背景、ひいては人種や階級について考えさせる。

 2010年以降は野外彫刻も制作。トラファルガー広場の台座を用いたプロジェクトでは、黒人アーティストとして初めて作品が選ばれ、第四の台座に《ボトルの中にあるネルソンの船》(2010)が設置された。その後、ロイヤル・オペラ・ハウスの建物壁面に飾る回転式のオブジェ《グローブ・ヘッド・バレリーナ》(2012)、バティックが風によってはためいたようなパブリックアート「ウィンド・スカルプチャ」シリーズ(2014)などを展開する。

 16年に横浜美術館で開催された「BODY/PLAY/POLITICS」に参加。バティック製の19世紀フランス風ドレスをまとった黒人歌手が、オペラ『椿姫』のヒロイン・ヴィオレッタに扮してアリア「さようなら、過ぎ去った日々よ」を歌う映像作品を発表した。19年に日本初個展「インカ・ショニバレCBE: Flower Power」(福岡市美術館)が開催。2004年にターナー賞にノミネートされ、05年に大英帝国勲章五等勲位(MBE)、19年には三等勲位(CBE)の称号を授与される。2013年にロイヤル・アカデミーの正会員(RA)となる。