ARTISTS

カールステン・ヘラー

Carsten Höller

 カールステン・ヘラーは1961年ベルギー・ブリュッセル生まれ。農業工学と昆虫のコミュニケーション構造を研究した後、89年よりアーティスト活動を始める。動植物および昆虫の科学的知識をベースに、鑑賞者の知覚や認識を促すような体験型・参加型のインスタレーションを制作。97年のドクメンタ10では、ドイツ出身のローズマリー・トロッケルとともに《豚と人間のための家》を出展し、ガラス越しに豚と人間が観察し合う空間をつくり出した。2000年に、回転する巨大なキノコを天井から吊るした《逆さキノコ部屋》や、穴の空いたテントから鑑賞者がフリスビーを投げることができる《フリスビーハウス》などを発表。10年にはインド神話に登場する飲みもの「ソーマ」を題材に、観察対象として美術館内に動物を迎え入れた展覧会「SOMA」(ハンブルガー・バーンホフ現代美術館、ドイツ)を開催。翌年のニューミュージアム(ニューヨーク)での展覧会「Carsten Höller: Experience」では、内部を移動できる彫刻として建物の階層を突き抜ける半透明のすべり台や、回転木馬などからなるインスタレーションを展開した。現在、スウェーデン・ストックホルム在住。自作の発明品や科学の応用を取り入れつつ、人間の行動についてアートの視点から検証する実験的な作品の制作を続けている。日本では05年にShugoArts(東京)で初個展が開催。作品は、豊田市美術館、金沢21世紀美術館、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]などに収蔵されている。