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アネット・メサジェ

Annette Messager

 アネット・メサジェは1943年フランス・ベルク=シュル=メール生まれ。パリ国立装飾美術学校で学ぶ。在学中、写真コンクール優勝の副賞で得た世界周遊券を使って南ヨーロッパやアジア各地を旅行し、異文化にふれる。美術学校卒業の翌年に開催されたジャン・デュビュッフェによる「アール・ブリュット」展(パリ装飾芸術美術館、1967)、そして五月革命(1968)に衝撃を受け、権威に屈しない文化の多様性の希求や、偏った女性性への疑問を制作の原動力とする。70年より、別の人格になりきって身の回りにあるものを収集する「アルバム・コレクション」シリーズを発表。その後、写真やぬいぐるみ、刺繍などを組み合わせて異空間を出現させるインスタレーションを展開し、90年代以降には、天井にぬいぐるみを吊るす、機械仕掛けのモチーフなどを動かすなどした大規模な作品も手がけるようになる。遊び心のある空間は、同時に不気味さをも感じさせ、ユーモアと恐怖、生と死、動物と人間、表と裏といった物事の二面性を表す。

 90年にクリスチャン・ボルタンスキーとの2人展を開催。2000年に入ってからはコンピュータの技術を取り入れた作品にも取り組む。05年に第51回ヴェネチア・ビエンナーレのフランス館代表として出展し、童話『ピノキオ』から着想を得た《カジノ》で金獅子賞を受賞する。08年に日本初個展「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」(森美術館、東京)を開催。大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015では、築150年の空き家で営まれた生活を想像して再構築した《つんねの家のスペクトル》を出展。16年に第28回高松宮殿下記念世界文化賞(彫刻部門)を受賞する。