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アウグスト・マッケ

August Macke

 アウグスト・マッケは1887年ドイツ・メシェーデ生まれ。デュッセルドルフの美術学校で学んだ。1907年に初めてパリを訪れ、印象派の作品に出会う。帰国後は、テーゲル湖畔を拠点に制作。10年にフランツ・マルクと知り合い、翌年、マルクとヴァシリー・カンディンスキーらを中心にミュンヘンで結成された「青騎士(デア・ブラウエ・ライター)」に加わった。原始美術、日本など東方の美術、児童画などを紹介した青騎士の年刊誌の編集にも携わりながら、グループの自由な気風のなかで、動物や生命に傾倒したマルクや、精神を重んじたカンディンスキーとはまた異なる、明るく澄んだ油彩や水彩の作品を描く。12年にパリを訪問。色彩を重視しキュビスムに鮮やかさを取り入れようと、オルフィスムの生みの親となるロベール・ドローネーに会う。14年にパウル・クレーとともにチュニジアを旅行。同じ年に勃発した第一世界大戦でドイツ軍に志願し、27歳で早世する。14年没。代表作に《散歩》(1913)、《緑色の上着の婦人》(1913)など。マッケら青騎士は第一世界大戦の開戦をもって短い活動に終わったが、幅広い美術を受け入れた機関誌やおのおのの作品が、のちの抽象表現主義などの動向に影響を与えている。