ARTISTS

アンドレア・デル・ヴェロッキオ

Andrea del Verrocchio

 アンドレア・デル・ヴェロッキオはルネサンス期の彫刻家・画家・金工家。1435年頃にイタリア・フィレンツェで生まれたとされる。フィレンツェ派の代表作家のひとりであり、優美な《ダヴィデ像》(1476頃)など、とくに彫刻の分野で才を発揮した。この時代、彫刻家や画家になるためには親方が率いる工房に弟子入りすることが一般で、ヴェロッキオも金工や彫刻など技術を会得したのち独立。自らの工房を持ち、多くの弟子を抱えた。門下のなかでもレオナルド・ダ・ヴィンチが知られ、《キリストの洗礼》(1470〜74頃)は師弟の共作。彫刻に優れ、その力量を絵画にも生かしたヴェロッキオのもとで、ダ・ヴィンチをはじめとする後進が巣立っていった。《キリストの洗礼》を見ると、中央には片足に体重をかけて立つキリストが描かれ、動きが出ている。布を腰に巻いた半裸のキリストの筋肉は隆起し、現実の人体に近づけようとしている。こうした人体表現は、ルネサンス期に画家たちの関心を大いに集めた解剖学の研究をはじめとする研鑽の賜物といえ、とりわけ《コレオーニ将軍騎馬像》(1480年代)の勇姿にその成果が集約されている(本作の原案はヴェロッキオだが制作途中で死去したため、完成は最終的に委託された)。88年没。