「リクリット・ティラヴァーニャ『たくさんの人々』」(MoMA PS1)
今年見たなかで、もっとも高い精度の現代美術展だった。パッタイを配る歴史的パフォーマンスの再演、そのアーカイブ展示、そして絵画や映像、参加型インスタレーションなどが所狭しと並ぶ回顧展である。どれもが現代美術が開発してきたあらゆる技術を適切に使用したもので、あまりに適切に世界の複雑さが「展示」されている。高度な知性とコミュニケーション能力に基づいた展示だ。しかし岡山芸術交流における市民団体についてのコメントからも垣間見える姿勢だが「顔を合わせた人」のみに向けられた表現に感じた。それはもはや排他的かもしれない。