TikTokでいま注目すべき日本人アーティストベスト4
先日のレポートで触れたとおり、所蔵作品や周辺の情報について、TikTokで積極的に発信する美術館やギャラリーが増加中だ。それと同時に、アーティストたちが表現活動の場としてTikTokで自分の作品や作品制作のプロセスを紹介、ブレイクする現象も世界各国で増えてきている。アーティストは、どのようにTikTokで活動しているのか？ 表現の場としてTikTokを活用する、日本を基点に活躍するアーティストを紹介。それぞれにTikTokをどのように扱っているのかを伺った。（PR）
kerocchi コラージュアートの制作過程を動画で紹介
kerocchiは、西宮出身の1997年生まれのアーティスト。「孤独に対する一つの対抗手段」として、古い雑誌や印刷物から対象を切り抜き、再構成するコラージュアートを制作するほか、小説執筆や動画配信など多岐に渡る表現活動を行っている。
これまで、彼はYouTubeやInstagramなど様々なプラットフォームで作品を発表していたが、今年の2月よりTikTokでも発信を開始。自分の作品を紹介するだけではなく、それら作品の制作過程も掲載することで、ユーザーの興味・関心を強く惹きつけている。
@kerocchi22 コラージュアート制作. #アトリエプロジェクト #コラージュ #アート #メイキング #collageart #paperwork #surrealism #artwork #✂️
♬ My Sharona - Terry Bozzio Version - The Knack
フォト・モンタージュは、異なる複数の写真を切り取り、組み合わせることで、元の写真から意味を剥ぎ取り、新しい世界を生みだす制作技法だ。この技法が生まれて約100年が経過し、アナログの印刷物を切り取り、組み合わせる手法をデジタルの世界で公開するという、この新しい組み合わせにより、さらに興味深い分野になっている。
@kerocchi22 コラージュアート制作. #コラージュ #メイキング #アート #collageart #surrealism #artwork #🎨
♬ red leather - 53 Thieves
@kerocchi22 コラージュアート制作.#アートワーク #コラージュアート #デザイン #ヴィンテージ #collageart #artwork #🎨
♬ Magic - THE CHARM PARK
kerocchiは当初、TikTokについて「ダンス動画のイメージ」を持っていたため、それほど関心を持っていなかったという。しかし、友人に勧められて発信を始めてみたところ、他のプラットフォームよりも不特定多数のユーザに見てもらえる機会が多く、それゆえに率直な意見を多く投げかけられることに気づいたという。「現在は自分の好きなことと、他者の評価の境目を測る“ものさし”としても利用しています」と、TikTokの特性を十分に把握したうえで活用しているそうだ。
千広兄弟 TikTokにより活動の幅が広がった
「スランプで落ち込んでいた時期に始めたのがTikTokでした」と語るのは、イラストレーターの千広兄弟。緻密で幻想的なイラストの制作過程を、タイムラプス動画にした投稿が好評で、4ヶ月目にしてフォロワーはすでに6万人を超えている。
@chihiro.b 54じ時間の作品。よかったら最後まで見ていってください。#絵かいてみた #イラストメイキング #Chill #illustrator #アナログイラスト #オススメ乗ってたら教えて #描いてみた
♬ 私の思春期へ - 赤頬思春期
鉛筆でアタリをとり、ペンを入れ、彩色するまでの54時間の課程を圧縮した投稿には現在までに850を超えるコメントが寄せられている。
「息抜きの一貫に......と投稿し始めたTikTokでしたが、想像を超えるいいねやコメントに驚いたのを今でも覚えています」と語る千広兄弟の元には、TikTokがきっかけとなって、企業からのイラストの制作依頼や、MVやブランドとのコラボレーションなど、活動の幅を大きく広げる話が届いて来ているという。
@chihiro.b #イラスト #メイキング#art #artwork #chill #手嶌葵 #しずかだなぁ#千広兄弟#chihirobros #
♬ しずかだなあ - 手嶌 葵
@chihiro.b 4000人記念。コメントひとつひとつにいつも励まされています🥲ありがとうございます。#イラストメイキング #絵かいてみた #最後まで見てほしい#制作27時間
♬ オリジナル楽曲 - 希 依 - め る
「多彩なコンテンツが展開されているTikTokだからこそ、ジャンルの垣根を超えた新しいつながりが生まれる場になっていると思います」と語る。
doooo 世界を驚かせた人肉モチーフ
DJ／プロデューサーとして活動するdoooo（ドゥー）は岩手県出身。音楽活動も行う傍ら、人肉小銭入れや人肉MPC、人肉iPhoneなど人体をモチーフとしたリアルな作品制作も積極的に行っている。TikTokでも2020年6月から発信を開始。
@44doooo 夜中でも活発です
♬ オリジナル楽曲 - doooo
人肉小銭入れや人肉サイコロがずらりと並べられた投稿についた「いいね」の数は、なんと約350万。日本のみならず、海外からのコメントやリアクションが多数寄せられている。
「コメントだけでなく、作品を見て楽しんでいる様子や、気持ちが引いている様を動画にして投稿してくれる方も多くいらっしゃり、反応をストレートに感じることができて非常に嬉しいです。人と直接会う機会が減っている現在の状況だとなおさら」と語るdoooo。
@44doooo 人肉サイコロの寝かしつけ方 / Eye Dice
♬ オリジナル楽曲 - doooo
「僕の場合は、加工も編集もしない動画のほうが作品を身近に感じてもらえるのではと思っています。TikTokでは身近さやリアルさを実感し、楽しんでいただければ」と自分の作品と動画、そしてTikTokとの組み合わせについて分析する。
@44doooo 人肉アイテムは僕のWEB SHOPでお買い求め下さい
♬ オリジナル楽曲 - doooo
ちなみに、「これまで僕のことを無視していた友人の子供が話してくれるようになった」と、世代を超えた交流を深める機会も得たそうだ。
冨永ボンド ボンドを使って人と人をつなげていく
冨永ボンドは木工用ボンドを絵の具として使う画家。「つなぐ（接着する）」を制作テーマとし、独自の色彩と画報で抽象的な作品を制作。ライブペインティングや壁画制作、アートセラピーなど幅広い分野で活動を行う。現在は、佐賀県多久市のアトリエ・ボンドバを拠点として、パリやニューヨークのギャラリーと契約し、制作活動を行いつつ、多久市の街づくりに携わるなどグローカルな活動を行っている。
TikTokではボンドを使った作品の制作過程を中心に発信している。
@bondgraphics #お絵描き #画家 #木工用ボンド #現代アート #アート #art #painting #paint #抽象画 #abstract #artist #japan #abstactart #abstractpainting
♬ Shake It! (Muscle Edit) - BLACKJAXX
「ライブペインティングの手法を使って、人と人、人とアートをつなげていきたいと考えています」と語る冨永。制作のプロセスを重要視しているため「時間の奥行きがある動画メディアと大衆性のあるボンドの容器の組み合わせは、アートへの間口を広く、アートへの敷居を低くできる可能性が高いと思ったから」とTikTokで発信を始めた理由を語る。
@bondgraphics ♬ オリジナル楽曲 - 冨永ボンド
「今後もTikTokを通じて、アートを作る作業そのものの楽しさや表現にふれる大切さを、年齢や性別関係なく幅広く広げていきたい」とTikTokの可能性に思いを馳せた。
@bondgraphics #art #abstract #paint #painting #artist #arty #artwork #color #abstractart #japan
♬ La Luz - LESKY
この他にも、TikTokを表現の場としているアーティストは非常に多い。TikTokを訪れ、ぜひ#アートや#art、#livepaintなどのクリエイティブに関するハッシュタグを検索し、お気に入りのアーティストを見つけ出してほしい。