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「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館)特別鑑賞会レポート

京都市京セラ美術館で開催中の、村上隆の大規模個展「村上隆 もののけ 京都」。6月8日夜に館内を貸し切って美術手帖プレミアム会員限定の特別鑑賞会が行われた。

美術手帖プレミアム会員限定の特別鑑賞会の様子

 村上隆にとって国内では8年目ぶり、そして京都では初となる大規模個展「村上隆 もののけ 京都」。入場者数25万人を突破するなど、連日賑わいを見せるこの展覧会で、閉館後の館内を貸し切って「美術手帖プレミアム」会員限定の解説付き特別鑑賞会が行われた。(開幕レポートはこちら

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景より、村上隆《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(2023-24)
(C)2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 「村上隆 もののけ 京都」は6つの部屋で構成されており、約180点の作品が並ぶ。そのうち90パーセントが本展のためにつくられた新作。京都でしか見られない構成が大きな特徴となっている。

 今回の特別鑑賞会は、京都市京セラ美術館およびカイカイキキの協力によって実現したもの。本展の企画者である同館・高橋信也が代表的な作品を解説し、約30名が特別なひとときを楽しんだ。

 展示冒頭を飾る巨大な2つの立体作品《阿像》と《吽像》を抜け、岩佐又兵衛の傑作《洛中洛外図屏風(舟木本)》(東博蔵)を引用した全長約13メートルにおよぶ《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(2023-24)へ。京都の祭事や名所とともに膨大な人々が描き込まれたこの作品に、多くの鑑賞者が目を凝らしていた。

美術手帖プレミアム会員限定の特別鑑賞会の様子。背景が村上隆《洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip》(2023-24)

 京都は東西南北が山や川で囲まれた土地であり、四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)がそれぞれの方角を護ってきた。第2室には、この四神をモチーフとした新作が東西南北の方角に一致するように展示されており、黒い床や壁にはびっしりとドクロが描かれている。京都の地理的な特性が実感できる展示室だ。

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景より
(C)2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 曾我蕭白の《雲龍図》に触発され、自ら筆をとった全長18メートルの雲竜赤変図《辻惟雄先生に「あなた、たまには自分で描いたらどうなの?」と嫌味を言われて腹が立って自分で描いたバージョン》(2010)と、向かい合うように設置された《金色の空の夏のお花畑》(2023-24)。前者については、アーティスト・村上の画力の高さにあらためて驚く声も上がった。いっぽう本展メインビジュアルにも使われている後者は、尾形光琳の《孔雀立葵図屏風》を思わせるもの。お花のモチーフが整然と並ぶ、一見シンプルな作品だが、お花の目はそれぞれ異なる色彩の組み合わせとなっており、背景の金箔も箔押師による手仕事だ。その技巧的な部分の解説に、鑑賞者らは熱心に耳を傾けていた。

美術手帖プレミアム会員限定の特別鑑賞会の様子。背景が村上隆《雲竜赤変図》(2010)
「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景より、村上隆《金色の空の夏のお花畑》(2023-24)
(C)2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 この鑑賞会でもっとも大きな関心を集めたのが、NFT作品を絵画として起こしたものだ。同じサイズのキャンバスが108つ並んだこの作品群。コンピューターを使って描いたようにも見えるが、じつはすべて手作業によって制作されたものだ。高橋の解説によって初めてそのことに気づいた参加者も多かったようで、驚きの声が上がった。

 この特別鑑賞会の満足度は100パーセント。「作品の本質に触れるのは至福です」「作品を観るだけではわからない情報をたくさんお話いただけた」「
迫力のある作品を間近で見ることができ、大満足だった」「作品の背景を詳しくお聴きすることができ理解が深まった」「知らないことばかりでとても面白かった。村上さん作品、好きになりました」との感想が集まった。

「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景
(C)2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd. All Rights Reserved.

美術手帖プレミアムでは様々な展覧会で特別鑑賞会を年間を通じて実施しています。ご加入はこちらから。

編集部

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