SBIアートオークション「Bid For Summer」セールが開催。ロッカクアヤコが1億6000万円で落札、オークションレコードを更新

SBIアートオークションがライブ配信型オークション「Bid For Summer」セールを7月15日と16日に開催した。代官山ヒルサイドフォーラムで下見会も開催された本オークションの主要な落札結果を、2日分まとめてレポートする。

文=塚田萌菜美

SBIアートオークション「Bid For Summer」セールのオークション配信画面

 7月15日と16日に、SBIアートオークションはライブ配信型オークション「Bid For Summer」セールを開催した。エディション作品をメインにラインナップされたライブ配信型セールの場合、従来下見会は省略されているが今回は特別に開催され、夏のバカンスシーズン到来を前に、若手から戦後の有名作家のオリジナル作品なども織り交ぜながら、活況な競りが行われた。

花井祐介《Untitled》(2013)

ロッカクアヤコが最高額落札

 今回のセールタイトル「Bid For Summer」に相応しく、ロット001は夏らしい花井祐介の6号キャンバス作品からスタート。先月のNew Auctionでも人物描写のない1周り小さい作品が出品されていたが、そちらのハンマー価格は200万円だったのに対し、今回はオンライン同士が競り合い、440万円での落札。これまでキャンバス作品については、人物モチーフの有無によって相場が二分されていたが、今回は人物の腕しか描写されていないにも関わらず、人物主体作品と同等の判断がなされたようだ。

 ロット172のKYNEの4号キャンバス作品も高価格を叩き出した。今年5月のクリスティーズ香港では倍サイズの作品が出品されたが、今回はその落札金額を上回る800万円まで、海外からの電話ビッドが競り上げた。

SBIアートオークション「Bid For Summer」セールのオークション配信画面

 KYNEの版画についても、ロット009は作品コンディションが特段良好ではなかったにも関わらず、高額で落札された。今年4月のフィリップス・オンラインでは同じ版画が約247万で落札されていたが、本ロットは電話とオンラインと競り合い、440万円で電話が逃げ切った。


SBIアートオークション「Bid For Summer」下見会場の様子

 キース・ヘリングについては、版画とサーフボードのドローイング作品が出品された。後者は、1983年にキースが直接サーフボードにドローイングを施す様子の写真がカタログで紹介されており、エスティメイト500万〜800万円のところ、1800万円で落札。国内のオンラインと中国語の電話が競り合い、電話が落札した。

 ロット174のジョーディー・カーウィックは、香港やロンドンでの取引が多い作家で、国内オークションデビューを果たした。落札はオンライン同士の戦いで160万円。海外相場よりやや低めの結果で着地している。

SBIアートオークション「Bid For Summer」セールのオークション配信画面

 今回のカタログ表紙に採用されている、今井麗の《ROUTE 7》は、2018年の作品集出版時の展覧会に出品されていた作品である。20号の本作は入札多数のため、エスティメイト上限の300万円からスタートし、1450万円でオンラインが中国語の電話を抑えて落札。先月フィリップス香港にて、同サイズの作品が約1400万円で落札された結果と足並みを揃えることとなった。

今井麗《ROUTE 7》(2018)

 今年に入り、以前にも増してオークションを賑わし続けているロッカクアヤコは、この日オークションレコードを更新した。2007年作の30号キャンヴァスは、先月のNew Auction出品作品よりも小型の作品だが、落札価格は同額の7300万円。

下見会より、左からロッカクアヤコ《Untitled》(2007)、《Untitled》(2017)

 これで競りに弾みをつけ、続く2017年作のロット194は世界最高値を叩き出した。100×150センチメートルの本作品は、エスティメイトが4000〜7000万円のところ、9000万円と上限を大幅に超えてもなお4名が交互に競る大混戦となった。まず電話、次にアジアのオンラインが1億2500万円で脱落し、オンラインが競り合ったのち1億6000万円で落札されている。本作は2020年12月のクリスティーズ香港で落札履歴がある作品であり、当時は約2500万円であったことから、直近1年半での伸び幅が顕著に見られる結果となった。なお、以前のオークションレコードは、より大型の180×140センチメートルの作品で104万ドル(約1.4億円)落札という、今年5月にクリスティーズ香港が記録した数字である。

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