1月7日発売の『美術手帖』2021年2月号は、「2020年代を切り開く ニューカマー・アーティスト100」特集を掲載する。
日本を拠点とする、もしくは日本にルーツを持つ作家を対象に、キュレーターや美術批評家、アーティストらが推薦する新進気鋭のアーティスト100組を紹介。無名に近い若手作家から、近年活躍が目覚ましい作家、定年退職後に美術を学び始めた作家まで、多様なアーティストが登場。年齢層は16歳から74歳までと幅広く、出身地や活動拠点も様々だ。
新進アーティストたちの新たな表現や在り方は、アート・シーンを刷新するのみでなく、コロナ禍によって既存の価値観や生き方の見直しが迫られるいま、多くヒントを与えてくれるだろう。本特集をきっかけに未知のアーティストと出会い、その作品や試みに注目してほしい。
またPART2の「新時代のためのアート・プラクティス」では、アートスペース、コミュニケーション、ハラスメント問題という3つのテーマから、アーティストとアートシーンの未来を探る記事を掲載。
注目の新進アートスペース紹介では、多様性に向き合い、様々な人が安心できる場を志向するアートスペース兼コミュニティセンターとして2020年にオープンした「新大久保UGO」(東京)や、ドライブイン形式の展覧会を開催して話題となったシェアスタジオ「山中suplex」(滋賀)などのインタビューを収録。
また近年、芸術分野において多くの事例が明るみに出ているハラスメント問題は、表現に関わる人々にとって喫緊の課題だ。本特集では基本的な知識から具体的なアドバイスまでを紹介する「ハラスメント防止ガイドライン」のほか、ジェンダー不平等とハラスメントの歴史的背景から近年の動向までを解説する論考、さらに「彼女たちは歌う」展を企画したキュレーター・荒木夏実と「カナリアがさえずりを止めるとき」展を企画したアーティスト・岩崎貴宏の対談を掲載し、この問題について多角的に考える。
第2特集では、1月23日から京都市京セラ美術館で開催される「平成美術:うたかたと瓦礫1989-2019」を取り上げる。企画・監修を務める美術評論家・椹木野衣のインタビューや、参加作家座談会から、本展の試みを探る。