国際的に高い評価を受ける2人の「フォトセッション」が展覧会というかたちで公開されるのは、日本初のことだ。
田原桂一は1951年京都府生まれ。71年に渡仏し、ヨーロッパの光に魅入られた田原は、パリを拠点に写真を撮り続け、「光」そのものを追求してきた。
いっぽう45年に東京都に生まれた田中泯は、60年代にモダン・ダンサーとして活動を開始し、ユニークな身体表現で注目された。
78年秋にパリで邂逅し、「光と身体の関係性」を探求し始めた2人。田原は、さまざまな都市や大自然の環境を敏感にとらえて踊る田中を、モノクロのイメージに焼き付けた。しかしながら、80年代まで続いたこの「フォトセッション」はこれまで公開されることはなかった。
2016年、キャリアを重ねた両者は「原点回帰」を目指し、再び「フォトセッション」を開始。本展では、78年〜80年に撮影したものから41点、新作から5点の合計46点を展示する。惜しくも田原は17年6月に他界したが、亡くなる直前まで本展に力を注いでいたという。
本展では、「フォトセッション」の締めくくりとして、田中によるソロダンスパフォーマンスも行われる。その「場」の光や空気を身体で表現する田中と、その姿を光と影の鮮烈なイメージへと昇華させる田原。2人の緊張感あるコラボレーションの成果があらわれた、濃密な展覧会となっている。