BCLは、アートやサイエンスの領域を超えてコラボレーションを行うアーティスティック・リサーチ・フレームワーク。2004年にゲオアグ・トレメルと福原志保によって立ち上げられ、14年に吉岡裕記とフィリップ・ボーイング、15年に伊藤隆之が参加した。メディアアートとバイオサイエンスに対する深い関心をもち、バイオテクノロジーの発展が社会に与えるインパクトにスポットを当て、活動を続けている。
第二次世界大戦中、日本では細菌が仕込まれた陶器製爆弾が陶芸工場で生産され、戦地で使用されたと言われている。そして現在は、感染研究所ではウイルスの防御として新しい抗生物質の菌株の開発が進められている。
3年ぶり2度目の個展となる本展では、ゲオアグ・トレメルと、オーストリア在住の陶芸家マティアス・トレメルが協働し、生物兵器の入れ物であった爆弾型陶器を再び制作。破壊し、それに金継ぎを施し、抗生剤を植え付けて作品化する。
Resist/Refuse(耐性/拒絶)、破壊と復元、災いから治癒という移行の象徴として金継ぎされた「爆弾型陶器」と、その制作過程のビデオを展示。BCLは本展を通して、拡散された細菌とその災いの後に何が残るのか、その悲劇から未来への教訓と希望を見いだせるのかを問いかけている。