栃木県立美術館は、社会における美術の位置を科学理論との対比から再考する試みとして、これまでに、ダーウィニズムを美術に応用した「画像進化論」展(2011)、熱力学と色彩論の親和性を考察した「マンハッタンの太陽」展(2013)などの企画展を開催してきた。
今回開催される「2D(にじげん)プリンターズ 芸術:世界の承認をめぐる闘争について」展は、3Dプリンターの登場により近年急速に進化を遂げる「複製技術」に焦点を当てるもの。医療の分野などをはじめ、社会に直接的に役立つ3Dプリンターの「社会的有用性」を出発点に、芸術における有用性の有無という古典的な問いを改めて問い直す。
出品点数は、福田美蘭、橋本聡、折元立身、郭徳俊などの作品を含む約200点。写真、版画、映像、印刷物などの複製技術と、絵画、ドローイング、彫刻などの手わざとを比較展観しながら、21世紀の今日、美術が持つ「価値」について考える。