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2023.6.1

古代メキシコ展からガウディとサグラダ・ファミリア、蔡國強の個展まで。6月に注目したい展覧会ベスト14

2023年5月末から6月にかけて開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。*最新情報は各館公式サイトをご確認ください。

鷲の戦士像 アステカ文明、1469~86年 テンプロ・マヨール、鷲の家出土 テンプロ・マヨール博物館蔵
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二人の近代日本画の巨匠をたどる。特別展「小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―」(山種美術館)

 近代日本画の歴史に大きな足跡を残した小林古径(1883〜1957)と速水御舟(1894〜1935)。同時期に活躍した2人の画家を古径の生誕140年という機会に取り上げる特別展「小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―」が東京・広尾の山種美術館で開催中だ。

展示風景より、小林古径《極楽井》(1912、東京国立近代美術館蔵、前期[5/20〜6/18]展示)

 古径と御舟は11歳の年齢差があるが、共通点が多い。ともに歴史画・人物画からその画業をスタートさせており、1914年に再興された院展で活躍した2人は、大正時代半ば以降には細密描写による徹底した写実へと同時期に作風を変化させていった。切磋琢磨しあった仲でもあり、年の差を感じさせず、互いに尊敬の念を抱いていた関係性でもあったという。

 本展では古径の《極楽井》(東京国立近代美術館)、《出湯》(東京国立博物館)、《清姫》(山種美術館)や、御舟の《炎舞》[重要文化財]、《翠苔緑芝》(いずれも山種美術館)といった代表作をはじめ、初期から晩年までの名品の数々を展示。古径と御舟の交流を示す作品や言葉もあわせて紹介される。同館のコレクションにおける古径作品がすべて見ることができるというのもポイントのひとつだ。レポートはこちら

会期:2023年5月20日〜7月17日([前期] 5月20日〜6月18日 / [後期] 6月20日〜7月17日)※会期中一部展示替えあり
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで 
休館日:月(ただし7月17日は開館) 
料金:一般 1400円 / 大学生・高校生 1100円 / 中学生以下無料(付添者の同伴が必要)

バーバラ・ロンドンがキュレーション。展覧会「DARA BIRNBAUM」(プラダ青山店)

 プラダ財団の支援を得て企画された展覧会「DARA BIRNBAUM (ダラ バーンバウム)」が、プラダ青山店5階で8月28日まで開催されている。

ダラ・バーンバウム Kiss the Girls: Make Them Cry 1979
Installation view, Art Institute of Chicago, 2016

 ダラ・バーンバウムは1946年ニューヨーク生まれ。現在も同地を拠点に活動している。バーンバウムは、大判写真や彫刻、建築的構成部分といった3次元的なデザイン要素を作品に取り入れながら、様々なソースの画像を対比させる、複雑で革新的なインスタレーションを制作した最初のアーティストのひとり。画期的な制作手法と手を加えたテレビの映像を使用することで知られており、メディア・アートの歴史を理解するうえで欠かせないアーティストだ。

 本展は、ニューヨーク近代美術館で長年キュレーターを務めたバーバラ・ロンドンがキュレーションするもの。1979年から2011年までの間に制作された4作品が展示されている。

会期:2023年6月1日~8月28日
会場:プラダ青山店5階
住所:東京都港区南青山5-2-6
開館時間:プラダ青山店に準ずる 
休館日:プラダ青山店に準ずる 
料金:無料

世界をどのように知覚し、そこで見出した概念をいかに彫刻化したのか。「若林奮 森のはずれ」(武蔵野美術大学美術館・図書館)

 戦後日本の現代彫刻を牽引してきた彫刻家・若林奮の展覧会「若林奮 森のはずれ」が武蔵野美術大学 美術館・図書館で8月13日まで開催される。

所有・雰囲気・振動—森のはずれ 1981-84 鉄、鉛、紙、木 257.0×414.8×506.3cm(部屋状部分のサイズ) 武蔵野美術大学 美術館・図書館所蔵

 若林は1981年に学内にある工房内に鉄板を立て、自らのために10畳ほどの空間を制作。その後、「鉄の部屋」という通称を持つようになったこのスペースの周囲を鉛で覆い、周辺に植物や大気を表す鉛の板やキューブを配置して《所有・雰囲気・振動―森のはずれ》(1981〜84)として発表した。自分自身が所有できる空間を区切ることで生まれた境界や領域をめぐり、自身を軸とした周縁、自然への思索を一層深めていった本作は、若林本人を含んだ自然や風景そのものの具現化を試みた作品といえる。

 本展では、若林が彫刻観を拡張させるきっかけとなった極めて重要なこの作品を、約30年ぶりに展示。この作品のほか、90年代の代表作《Daisy I》全10点をはじめとする大型彫刻や若林の夥しい思索の一端が見えるドローイングや小品、資料約100点も鑑賞できる貴重な機会となる。

会期:2023年6月1日〜8月13日
会場:武蔵野美術大学 美術館・図書館 展示室2、4、5 アトリウム1、2
住所:東京都小平市小川町1-736
電話番号:042-342-6003 
開館時間:11:00〜19:00(土日祝10:00〜17:00)
休館日:水 
料金:無料

「武蔵野シリーズ」より未発表作品13点が初公開。「田沼武能 人間讃歌」(東京都写真美術館)