リヒター、クリストとジャンヌ=クロード、シャネルまで。6月に注目したい展覧会

2022年6月に開幕する展覧会のなかから、とくに注目したいものを編集部がピックアップしてお届けする。*最新情報は各館公式サイトをご確認ください。

ゲルハルト・リヒター ビルケナウ(937-4) 2014 ゲルハルト・リヒター財団キャンバスに油彩 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

リニューアルオープン記念展。「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」(国立西洋美術館)

フィンセント・ファン・ゴッホ 刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑) 1889 キャンバスに油彩 フォルクヴァング美術館蔵 © Museum Folkwang, Essen

 4月にリニューアルした東京・上野の国立西洋美術館で開催される、再開館を記念した展覧会「国立西洋美術館 リニューアルオープン記念自然と人のダイアローグフリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」。ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館との協働で、近代の芸術の展開をたどる展覧会だ

 フォルクヴァング美術館と国立西洋美術館は、同時代を生きたカール・エルンスト・オストハウス(1874〜1921)と松方幸次郎(1866〜1950)の個人コレクションをもとに設立された美術館。

 本展では、開館から現在に至るまでの両館のコレクションから、印象派とポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までの100点を超える絵画や素描、版画、写真が集結。近代における自然に対する感性と芸術表現の展開を展観するものとなる。

会期:2022年6月4日~9月11日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間:09:30~17:30(金土~20:00)※入館は閉館30分前まで。最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月 (7月18日、8月15日は開館)、7月19日
料金:一般 2000円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料

世界の紛争を見続けた目。米田知子「残響―打ち寄せる波」(シュウゴアーツ)

米田知子 70 年目の8月6日・広島 2015 Chromogenic print image:76×96cm ed.5

 東京・六本木のシュウゴアーツで、米田知子の個展「残響―打ち寄せる波」が開催される。会期は6月4日〜7月9日。

 ロンドンを拠点として活動を続ける写真家・米田知子は世界各地を舞台に、かつての歴史的事象の現場、戦争や災害の記憶を宿す場所、人、ものを対象に制作を続けてきた。米田作品は綿密なリサーチをもとに歴史を検証し、構成的な写真表現に移し替えることでモティーフが内包するストーリーを再構築し、鑑賞者に新たな認知をうながす。

 本展は21世紀においてもなお尽きることのない世界の紛争を、レンズを通して観察し続けた米田の視点から構成。2000年代初頭から2020年までの間にフランス、ベルギー、ボスニア、サハリン、朝鮮半島の非武装地帯で撮影された作品を中心に展示が構成される。

会期:2022年6月4日〜7月9日
会場:シュウゴアーツ
住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
開廊時間:12:00〜18:00
休廊日:日、月、祝日
料金:無料

写真のイメージのつながりを問う。鈴木理策 「冬と春」( タカ・イシイギャラリー)

Risaku Suzuki SAKURA 21, 4-597, 4-598 2021 chromogenic print 119×95.2cm (each) © Risaku Suzuki / Courtesy of Taka Ishii Gallery

 「見るという経験とは何か」を問う装置として写真をとらえ、写真の特性と視覚の問題に関心を向け続けてきた鈴木理策。

 鈴木は撮影者の眼、存在する対象をありのままに映し出すカメラという光学機械、それらをつなぐ媒介としての光、撮影者の意識外にある外界の揺らぎ、そして現像された写真のイメージ同士のつながり、それらが組み合わされて「見る」という持続的な経験を問い続けてきた。

 本展は、これまで鈴木が継続的に撮影してきた桜、雪、水鏡という主題が、それぞれ断片でありながら、並列されることで生まれる時空間に着目。写真と写真のあいだに生じる時間や季節の移ろいが、見るものにいかなる身体的な経験を与えるのかを問いかけるものだ。

会期:2022年6月4日〜7月2日
会場:タカ・イシイギャラリー
住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
開廊時間:12:00〜18:00
休廊日:日、月、祝日
料金:無料

現代美術最高峰の巨匠の個展、ついに。「ゲルハルト・リヒター展」(東京国立近代美術館)

ゲルハルト・リヒター ビルケナウ(937-1) 2014 ゲルハルト・リヒター財団
キャンバスに油彩 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

 ドイツが生んだ現代美術の巨匠、ゲルハルト・リヒター。日本の美術館では16年ぶりとなる大規模個展が6月7日に東京国立近代美術館で開幕する。

  60年代に本格的に活動を開始して以来、世界のアートシーンの最前線を走り続けるリヒター。90歳を迎える2022年に開催される本展は、作家自らが大切に手元に残してきた作品群を中心に60年にわたる画業を紹介するもの。

 なかでも見どころとなるのは、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所で囚人が隠し撮りしたとされる4点の写真から着想した、幅2メートル、高さ2.6メートルの作品4点で構成される巨大な抽象画《ビルケナウ》(2014)。本作は、展覧会出品作のなかでも最大級の絵画作品のひとつであり、リヒターにとって重要な位置を占める作品を日本で見ることができる貴重な機会となるだろう。

会期:2022年6月7日~10月2日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし7月18日、9月19日は開館)、7月19日、9月20日 
料金:一般 2200円 /  大学生 1200円 / 高校生 700円 / 中学生以下無料 ※東京国立近代美術館(当日券)、オンライン(日時指定券)にて販売

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