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2022.5.20

史上初、国宝89件をすべて展示へ。東博創立150年を記念する特別展

1872年に発足した東京国立博物館が、今年開館150年を迎えることを記念し、かつてない特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を10月18日より開催する。

東京国立博物館

 1872年に発足し、日本で最古の博物館として知られる上野の東京国立博物館。同館が開館150年を記念し、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」を開催する。会期は10月18日〜12月11日。

 そもそも東京国立博物館は、1872年に旧湯島聖堂の大成殿で開催された博覧会を機に「文部省博物館」として発足したものがその前身。1881年には上野公園にジョサイア・コンドル設計の建物(旧本館)が竣工し、翌年に現在の地に移転した。その後、「帝国博物館」「東京帝室博物館」「国立博物館」と名前を変え、1952年に現在の名称である東京国立博物館へと改称された。

 日本でもっとも長い歴史を持ち、また規模としても最大級を誇る東博。本展はその名の通り、東博を代表する所蔵品を一挙に公開するこれまでにないものだ。

 展覧会は2部構成で合計150件(うち国宝89件、重要文化財24件)を展示。

 第1部「東京国立博物館の国宝」では、東博所蔵の国宝89件(日本最多)すべてが会期中に公開される。現在、日本には902件の国宝があるが、その約1割がこの展覧会で見ることができる。

 通常、国宝は作品保護の観点から展示期間を制限して計画的に公開される。今回、それらを一挙に公開するため、館内で調整が重ねられてきたという。本展でも国宝の展示期間は4つに分けられるので気をつけてほしい。

 東博の国宝は絵画や書跡、考古、刀剣、法隆寺宝物など8分野に及ぶ。そうした多様な国宝が並ぶ本展では、それぞれの形状や特徴に最も適した展示デザインと照明を追求。理想的な展示空間と鑑賞体験を提供するとしている。なお日本最多を誇る刀剣19件は、ひとつの展示室にまとめて展示。「刀剣の間」が出現する。

 第2部は「東京国立博物館の150年」と題し、3期で東博の歩みを紹介。展示は時系列で「博物館の誕生」「皇室と博物館」「新たな博物館へ」の構成となる。

 「博物館の誕生」では、湯島聖堂博覧会の様子を当時実際に展示された作品とともに再現。日本に初めて博物館ができた当時の空気を感じてみたい。

 続く「皇室と博物館」には明治天皇が乗った鳳輦を展示するとともに、約100年前の歴史的な展示ケースを再生・活用することで東京帝室博物館時代の展示が再現される。また明治最古のキリンの剥製標本が約100年ぶりに東博に里帰り。かつては自然科学を含む総合博物館であり、その活動が国立科学博物館や上野公園に受け継がれたことを紹介する。

 「新たな博物館へ」においては、現在東博の中核をなす戦後から現代に至る活動を、代表作とともに紹介。昨年新収蔵された《金剛力士立像》もここで初公開される。

 5月20日に行われた報道発表会において、東博の銭谷眞美館長は「メモリアルイヤーにふさわしい展覧会。初めて東博に来る方も、何度もお越しいただいてる方にも、新たな出会いと発見の場になる」と自信をのぞかせつつ、次のように意気込みを語った。「コロナ禍でこれまでの博物館の運営は見直さざるを得ない困難な状態が続いている。そのなかで博物館のあり方を再確認し、なぜ博物館が必要なのかを考える機会ともなる。皆様とともに新しい一歩を踏み出したい」。