貧困や病、家族の喪失など、画家たちの⾝に起きた様々な「悲運」に焦点を当て、その作品に秘められたドラマに迫る企画展「悲運の画家たち」がこの秋、京都・嵐山にある福⽥美術館と嵯峨嵐⼭⽂華館で共同開催される。両館での共同開催は今回が初めて。
第⼀会場となる福⽥美術館のテーマは「逆境にも負けず」。2章構成となっており、「第1章:悲運の近代画家たち」では、市電にひかれ左⾜を切断した速⽔御⾈(1894〜1935)をはじめ、電⾞にはねられて命を落とした⽊島櫻⾕(1877〜1938)、最愛の⼥性を亡くした後も⽣涯制作に励んだ⽵久夢⼆(1884〜1934)など、それぞれの悲劇に⾒舞われた画家たちが、悲しい体験の前後に制作した⽇本画を紹介。
また、⾚⼦を由⽐ヶ浜に沈められた《静御前》(上村松園筆)や、不義密通の疑いをかけられた《おさん》(鏑⽊清⽅筆)、⼤⽕事から逃げ惑う⼈々を描いた《久松町の⼤⽕図》(⼩林清親筆) など、悲劇のドラマを描いた作品も同時に取り上げる。
「第2章:悲運の近世画家たち」では、⽗親とともに流罪になった深江芦⾈(1699〜1757)や、毒殺説がある⻑沢芦雪(1754〜1799)、流罪ののち切腹した渡辺崋⼭(1793〜1841)など、江⼾時代に不運な経験をした画家たちの作品を展覧する。福田美術館の作品総数は87点で、うち約30点が初公開作品。
第⼆会場の嵯峨嵐⼭⽂華館は「忘却にも負けず」をテーマに、岸⽥劉⽣ら近代画家の作品に加え、かつては⾼く評価されていたにも関わらず、現在は⼀般的にはあまり知られていないというある種の悲運に⾒舞われた画家たちにフォーカス。
岸駒(1749もしくは1756〜1839)や、五姓⽥芳柳(1827〜1892)、⼭元春挙(1872〜1933)など、個性あふれる画家の秀作を紹介する。作品総数は約50点で、うち初公開作品は約20点。
秋の京都でふたつの会場をめぐりながら、様々なかたちの「悲運」に向き合ってみてはいかがだろうか。