「MOTアニュアル」は1999年の第1回以来、東京都現代美術館が開催してきた展覧会シリーズ。その15回目となる「MOTアニュアル2019 Echo after Echo：仮の声、新しい影」が開催される。企画は同館学芸員の藪前知子、会期は11月16日～2020年2月16日。

　参加作家はTHE COPY TRAVELERS、PUGMENT、三宅砂織、吉増剛造プロジェクト｜KOMAKUS＋鈴木余位、鈴木ヒラク。5組に共通するのはコピーやサンプリング、コラージュといった手法。本展では多彩な表現手段をすでにある世界への応答の技術として組み立て直し、世代を超えて「つくる」ことの根源的な意味に迫る。

THE COPY TRAVELERS　机上の空間　2018　Photo by GIM IKHYUN　参考図版

　THE COPY TRAVELERSは加納俊輔、迫鉄平、上田良によるユニット。コピー機やスキャナなどのツールを用いて、複製やコラージュなどの手法の可能性を探っている。PUGMENTは、2014年に創設されたファッション・レーベル。本展では東京、代々木公園の空間の歴史をモチーフに20年春夏コレクションと連動した作品を発表し、会期中にはショーも行う。

PUGMENT　左からFall 2018 1XXX-2018-2XXX　Photo by Harumi Obama、MAGNETIC DRESS　2014　参考図版

　三宅はフォトグラムの手法で知られるアーティスト。イメージを見るという行為に着目し、人々の眼差しに時代を超えて内在する「絵画的な像」を多声的に抽出することを試みる。また、鈴木は一貫してドローイングと言語の関係を扱ってきた。古今東西の文化や現象のなかに隠された線の「発掘」をテーマに、ドローイングの可能性を押し広げている。

三宅砂織「庭園｜POTSDAM」（SPACE TGC、2019）での展示風景　参考図版

　そして本展では「吉増剛造プロジェクト」として、詩人の吉増と映像作家の鈴木余位、そして音響チームのKOMAKUSが協働。「札幌国際芸術祭2017」にも参加した同プロジェクトは、震災以降の詩のあり方を、過去からの声に突き動かされるようにして問う吉増の活動を記録・共有する試みだ。

　本展ではこれら5組が新作を中心に発表するほか、会期中には多彩なイベントも開催予定。様々なゲストを交えた「表現の生まれる瞬間」を目撃することができるだろう。

吉増剛造プロジェクト　「札幌国際芸術祭2017」での展示風景　Photo by Yoshisato Komaki　参考図版

鈴木ヒラク、THE COPY TRAVELERS、PUGMENTらが参加。東京都現代美術館の「MOTアニュアル2019」をチェック