過酷なシベリア抑留の記憶に向き合った作家。宮崎進の追悼展が彩鳳堂画廊で開催中

4年間にわたるシベリア抑留の記憶を起点に、絵画や立体作品を通して人間・生命に向き合い続けた宮崎進(しん)が5月16日に逝去。追悼展が現在、京橋の彩鳳堂画廊で開催中だ。会期は5月30日〜6月29日。

宮崎進 シベリヤ 1945 制作年不詳

 宮崎進(しん)は1922年山口県生まれ。42年、日本美術専門学校を繰り上げ卒業のちに召集され、第二次世界大戦後、捕虜となりシベリアの収容所で4年間の抑留生活を送った。

 帰国後に画家として本格的な活動をスタートし、少年時代の思い出をベースとした《見世物芸人》や、芝居小屋やサーカスがモチーフの「旅芸人シリーズ」を発表。90年代には、過酷な抑留生活の記憶の象徴として、麻布や新聞紙を用いた絵画を手がけ、人間や生命に対する強い感情を表現してきた。

宮崎進 Land-すべてが沁みる大地 制作年不詳

 主な展覧会に「宮崎進展 よろこびの歌を唄いたい」(横浜美術館、2002)「立ちのぼる生命 宮崎進 展」(神奈川県立近代美術館 葉山、2014)、「宮崎進 すべてが沁みる大地」(多摩美術大学美術館、2017)など。2004年にはサンパウロ・ビエンナーレに日本代表として参加。また、晩年はパーキンソン病を患いながらも精力的に活動を続けた。

 今年5月16日、心不全のため96歳で逝去した宮崎。その死を受けての追悼展となる本展では、平面作品27点を展示。1980〜2000年代までの幅広い作品が集まる。

会場風景

編集部

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