EXHIBITIONS

東北へのまなざし 1930–1945

2022.04.09 - 05.15

こけし(南部系) 1910年代~1941年 原郷のこけし群 西田記念館蔵

今和次郎 岩手県御明神村の農衣 1938 工学院大学図書館蔵

背中当(ばんどり)(山形県庄内) 1939 日本民藝館蔵

今和次郎、竹内芳太郎((財)同潤会・東北調査委員会) 東北地方気候区図(1:1,000,000) 1940 工学院大学図書館蔵

芹沢銈介 日本民藝地図(現在之日本民藝)(部分) 1941 日本民藝館蔵

 岩手県立美術館が企画展「東北へのまなざし 1930–1945」を開催している。

 満州事変に始まる混乱が太平洋戦争へと拡大していった1930年代から1945年にかけての日本は、いっぽうで、昭和モダンと呼ばれた都市文化が爛熟し、視覚文化や生活様式が急激な変化を遂げた時代でもあった。この頃、先端的な意識を持った人々が相前後して東北地方を訪れ、その土地の建築や生活用品に注目し、これらを書き留め、蒐集し、あるいは展示を行った。

 ナチス政権発足の1933年に来日した建築家ブルーノ・タウト、 1926年に日本民藝美術館設立趣意書を掲げて民藝運動を展開した柳宗悦、1940年に商工省に招聘されたシャルロット・ペリアンなどはその一例だ。

 また、素朴なこけしや郷土玩具への関心も昭和に入って飛躍的に高まり、東北地方の郷土玩具を蒐集、紹介した武井武雄や米浪庄弌(こめなみ・しょういち)らの活動も、民藝運動に近接する動きとして特筆される。

 さらには、「考現学」の祖として知られる今和次郎や『青森県画譜』を描いた弟の今純三、東北生活美術研究会展を主導した画家の吉井忠などの東北出身者たちも、故郷の人々と暮らしを見つめ直し、貴重な戦中期の記録を残している。

 本展は、東北に向けられた、ブルーノ・タウトや柳宗悦らの複層的な「眼」を通して、東北文化の魅力を改めて検証する。