牧田愛「Species」展

　美術家・牧田愛の個展が「Species」が、六本木 蔦屋書店の店内ギャラリースペースBOOK GALLERYで開催される。

　牧田は1985年千葉市生まれ。2013年に東京藝術大学大学院芸術学専攻美術教育研究科を修了。ニューヨークと東京を拠点に活動し、主に油彩画を中心とした平面作品を発表している。近年は絵画にとどまらず、ビデオ作品、NFT作品など多彩な媒体による制作活動を行っている。

　牧田は一貫して機械や金属類、プラスティックなどをモチーフに描いてきた。しばしば大画面に描かれるそれらの人工物は、複雑に重なり絡み合い、また流線形が描かれるなど、有機的なイメージをつくり出している。

　モチーフを写した写真にデジタル加工を施したうえで、作家自身の身体性を移すように時間をかけて筆で描き上げる牧田の絵画は、あたかも人工物と自然物、デジタルとアナログ、二次元と三次元、偶然性と蓋然性といった対照的に思われる性質のあわいにあるように感じられる。

　すべて新作で構成される本展では、初発表となるアルミ板を支持体に植物と機械のイメージが重なり合った作品シリーズや、東京の街並みをモチーフとした大作のキャンバス作品など、「様々な種の生き物」のかたちを抽象的かつ写真的に表現した平面作品約20点を展示する。牧田の視点がとらえる新たな「種（Species）」の創造の試みに注目してほしい。