EXHIBITIONS

天野祐子|堀内悠希「See the Light」

2022.03.30 - 04.23

天野祐子 Gračanica 2019 © Yuko Amano

堀内悠希 creation 2021 © Yuuki Horiuchi

 Hagiwara Projectsでは、天野祐子と堀内悠希による2人展「See the Light」を開催する。

 天野は1985年茨城県生まれ。2010年武蔵野美術大学大学院造形研究科デザイン専攻写真コース修了。写真家として、様々な展示や媒体、プロジェクトで作品を発表している。

 天野は、身近な景色だけでなく、時に雪山や離島に赴き自然の風景や現象を撮影。川の水面に浮かぶ砂や、樹氷、岩や石、剥がれ落ちた樹皮、木々にとまる鳥など、その土地の断片的な事象を記録し、それらのイメージの背景にある永遠の時間の存在と、シャッターをきるという限られた特別な瞬間の関係性をとらえようとしている。本展では、ヨーロッパのとある修道院の食事後のテーブルを撮影した作品などを展示。そこでは複雑な歴史を背景に抱えながら続く人々の営みにも、作家の真摯で力強い眼差しが向けられている。

 堀内は1990年奈良県生まれ。現在、ポーラ美術振興財団在外研修員としてロンドンに滞在しながら制作を行っている。

 堀内は、身の周りの事物や自然界の事象を相対的に見つめ、そこに内在する普遍性をとらえようと、絵画や写真、映像、インスタレーションなど多彩な手法で表現してきた。それは、見上げた空の色、足元のアスファルトの模様など、何でもない日々の一端が普遍的な事象へとつながり広がる瞬間を見出すような行為であり、世界のあり様を探る試みともいえる。本展では、新しい挑戦ともなる大ぶりの新作ペインティングのほか、近年の平面作品で構成される色彩豊かな展示を披露する。

 本展のタイトルにつけられた「See the Light」という言葉には、「光明を見出す」「ことの真理を知る」という意味がある。世界と対峙したときに感じる真理や言語化できない思いを、天野は自然や人々の営みに自らを対峙させその瞬間を撮影することで、いっぽう堀内は、あらゆる事象との関係性のなかで偶発的に立ち現れる普遍的本質をすくいあげ、その一片を描き示すことで表現している。

 手法は異なるが、同じように真理を追い求める2人の作家。不可視なものへ研ぎ澄まされたそれぞれの表現に注目してほしい。