EXHIBITIONS

三田村光土里展「365 Encyclopedia(365日の百科事典)」

2021.11.18 - 12.12

三田村光土里 October 7. 2021.
ドガ、トカゲ、土器、土偶

三田村光土里 August 31. 2021.
タコ、太宰治、卓球、ダダイズム、畳

三田村光土里 October 20. 2021.
ニシキヘビ、二次曲面、二次方程式、ニジンスキー、ニーチェ、日米安全保障条約、日露戦争

 SYP GALLERYでは、三田村光土里の個展「365 Encyclopedia(365日の百科事典)」を開催する。11月18日~12月12日まで。

 1964年生まれの三田村は、国内外で「人が足を踏み入れられるドラマ」をテーマとして、日常の追憶や感傷をモチーフに写真や日用品などのメディアを組み合わせたインスタレーションを中心に発表を続けてきた。近年は、ライフワークとして滞在型アートプロジェクト「Art &Breakfast」を世界各地で行う。

 本展で三田村は、2021年の元日から毎日制作している「百科事典」を主役にしたコラージュ作品を展示する。

 三田村は、生まれ育った家にあった百科事典の第1巻から順に、1日20ページほどの範囲で目についた写真や図を薄紙の上に描き写し、それらを重ねたり離したりして1枚の画をつく出す。本のなかで見つけた写真(ファウンド・フォト)をドローイングしてコラージュするこの手法を、「ファウンドローイング」と名付け、そこに存在した事実を確かめるように景色や人や物事の輪郭をなぞり、情報を伝えるための写真や画が人格を持って新しい役割を演じ始めることを期待する。

 例えば、サの項目で「猿、サルトル」といった、五十音順のつながりで偶然に出会ったモチーフが啓示のような必然を自動的に生成し、ページに刷られた活字を読み、画の意味を解く。このように、今回のコラージュ作品は、ファウンドローイングは出会ったもので構成する三田村のインスタレーションのプロセスを、そのまま平面に置き換えて制作されている。

 三田村は「こうして毎日、百科事典に向かい、脈絡なくページを横断する項目を追いながら、点から点へ、視点と思考が抽象的な時空間を旅する。日々、何を生み出せるのかわからない。『わからない』ことを、旅で初めて訪れる場所のように楽しんでいる。満足に仕上がらない日も、それがその日の一枚だと受け入れる」と述べている。