EXHIBITIONS

村山悟郎「多の絵画」

2021.11.06 - 12.19

村山悟郎「多の絵画」より

 THE POOLで、アーティスト・村山悟郎の個展「多の絵画」が開催される。広島での個展は初めて、出品作はすべて新作となる。

  村山悟郎は1983年東京都生まれ。2015年東京芸術大学美術研究科博士後期課程美術専攻油画(壁画)研究領域修了。15〜17年に、文化庁新進芸術家海外研修員としてウィーンにて滞在制作(ウィーン大学間文化哲学研究室客員研究員)。身体の行為から生じる有機的な線と、独自に設定されたルールの相互作用で描かれる絵画を多く発表してきた。

 09年には麻を編み上げ、ドローイングを施すことでつくられた巨大なペインティング作品が東京都現代美術館に収蔵され、またあいちトリエンナーレ2019では、近年目覚ましい発展を遂げているAI、バイオメトリクスなどの科学技術を用いた作品を発表するなど、国内外で注目を集めるアーティストのひとりだ。

 本展では、古典哲学の「多と一」の概念を手がかりに、1枚の絵画がもつ力という言説に対し、自身の絵画の「複数性」について提起する新作を発表する。

 日本家屋の古材やペンローズタイルに施されたダイナミックで緻密な線や軽快な筆致のドローイングは、膨大な繰り返しとその抵抗が拮抗することで、緊張と緩和が同時にある作品として支持体に現れている。これらの作品群は村山がこれまで取り組んできた、オートポイエーシスやセルオートマトンといった概念装置を展開するための重要な問いかけとなる。