EXHIBITIONS

Prism

2021.10.09 - 11.07
 NANZUKA UNDERGROUNDではグループ展「Prism」を開催。本展は、フリオ・アナジャ・キャバンディング、ジャン・コール、中村哲也、大平龍一、クレオン・ピーターソン、TOKI、ユーン・ヒョプの7人の作品を取り上げ、このパンデミックの最中でも、まばゆい輝きを放つアーティストたちの自由な創造性を示す。

 フリオ・アナジャ・キャバンディングは、1987年スペインのマラガに生まれ、現在もマラガに在住のアーティスト。精密な古典絵画を、使い古したダンボールや木の板、壁などに描いた作品で知られるキャバンディングの作品は、絵画をどこまで身近な存在にするかをテーマとしたアーティストの探求に基づいている。

 ジャン・コールは、韓国ソウル在住の若手アーティスト。楮(こうぞ)や桑といった植物からつくる「ハンジ」と呼ばれる伝統的な韓紙に描かれたその作品は、李氏朝鮮時代から伝わる水彩画の肖像画(美人画)の伝統を連想させる。

 中村哲也は、「スピード」と「改造」という現代社会を象徴するテーマに、ジェット機を模した彫刻作品「レプリカシリーズ」、カスタムペイントカルチャーにおけるウェザリングの美学を踏襲したロボット作品や、生物学への関心を連想させる人工生命体のような造形作品を制作してきた。近年の中村の作品はより有機的に、生物学的な情報を思わせる造形へと移り変わっている。

 大平龍一は、東京都出身、千葉県在住の彫刻家。大平の作品は、自然の環境と人間の創作行為、あるいは表現とエネルギーの数値化され得ない関係性といったテーマを暗示する。また、自身も熱心な車のマニアである大平は、すでに過去の遺産となりつつある日本の改造車文化を掘り下げた作品を制作している。

 クレオン・ピーターソンは、ロサンゼルスをベースに活動するアメリカ人アーティスト。赤や黒の限られた色彩のなかで、抽象化された人間が闘争や悪行を行う図を描き出す作風で広く知られている。古代の壁画や壺の絵に由来し、記録絵画の様式をまとう作品には、人間社会の歴史が権力争いと生存の目的に繰り返されてきた暴力に対する痛烈な風刺があり、現代の文明化した社会において覆い隠されている事実に向き合おうとする、作家の強いステイトメントが響き渡っている。

 TOKI(トキ)は、東京発信のファッション・フォトやコマーシャル・フォトで活躍する、男女2人によるフォトグラファー・ユニット。LEDが光学の中心に置き換わった現代において、ストロボ写真の隆盛期に開拓されたスタジオ撮影のテクニックを色感センサーカメラやプロジェクターといった機器を駆使しながら更新する特異な作品を制作している。TOKIの生み出す作品は、それがアート作品であれ、コマーシャル作品であれ、テクノロジーの進化によって新たに開拓される美学といったテーマにおいて、大きな可能性を持つ。

 ユーン・ヒョプはニューヨーク在住、今後の活躍が期待されるデジタルグラフィック世代のミニマリズム絵画を牽引するアーティストのひとり。幼少の頃から音楽やスケートボードといったカルチャーに親しみ、ポップカルチャーのなかで育ったユーンの作品は、極限まで単純化された色彩と線と点の構成によってもなお、私たちにポップで新鮮な印象を与える。今回、NANZUKA 2Gにおける初個展「THE PLANETS」(10月7日~24日)と合わせて、昼の風景と夜の風景との2パターンの作品を対比的に発表する。