EXHIBITIONS

ab-sence / ac-ceptance

不在の観測

2021.10.01 - 11.28

ミルク倉庫+ココナッツ scratch tonguetable 展示風景 2019 撮影=森田兼次

三枝愛 庭のほつれ-木を立てる(岐阜) 2019

平野真美 変身物語 METAMORPHOSES #3 Pâte de verre 2021

 岐阜県美術館は展覧会「ab-sence/ac-ceptance 不在の観測」を開催。「不在」をトピックとする本展は参加アーティストに、ミルク倉庫+コナッツ、三枝愛、平野真美の3組を迎える。3組はそれぞれが、姿をもたない存在や言語に回収されざる存在とのコネクトを試み、あるいは、認識の働きに潜む事象に目を凝らしている作家たち。

 ミルク倉庫+コナッツは、2009年結成のミルク倉庫を前身とする7名のアーティスト・コレクティブ。メンバー各自が、建築系技術、電設技術、音楽、デザインなどの職能を有し、技術と芸術を線引きしない、中世のギルドのような実験性に富んだ制作を特徴とし、もの、道具、身体、技術、時間等の潜在的な機能や関係へ思考を重ね、独自の視点を作品として社会へ提示する。

 三枝愛は1991年生まれ。現在は京都府を拠点に活動。東日本大震災をきっかけに起きた庭の変化を起点に、ものを存続させることの意味を問いつつ、それにまつわる変化や状態に尊厳を見出し、様々な表現や行為に派生させる。近年は、文化財を扱う現場で用いられる技術を制作に反映させ、「事象」を残す手立てを探っている。

 平野真美は1989年生まれ。岐阜県を拠点に制作。瀕死の愛犬や実在しない空想上の生物などを、骨格、臓器、血管、皮膚、毛、眼球など身体を構成するあらゆる部位を人工的に再現することで、蘇生・転生を探求している。不在と死、保存と制作、認知と存在に関する思索を深め、いかにそれらと向き合うのかを問いかける。

 本展では3組の作家が、岐阜県美術館の所蔵品に新たな解釈を付加し、別の時間軸に出現させる。岐阜県美術館コレクションからの出展作家は、荒木高子、伊佐治勝太郎、榎倉康二、野村仁、松尾芭蕉。複数の行為や思考を重ね合わせることで、私たちが「不在」と考えているものの根拠、概念を問い直す。